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異次元緩和の先に、日銀が「巨額債務超過」に陥る可能性

一刻も早く脱却を図るべし

日本銀行が現在行っている金融緩和政策からの脱却が議論されるようになった。では、国債の購入を縮小(あるいは停止)し、マイナス金利の付加をやめ、そして長期金利のコントロールを行なわないこととすれば、緩和政策から脱却したことになるのか? 実はそうでなく、さまざまな障害が発生すると予想されるのである。以下では、この問題について検討しよう。

金融緩和終了時の日銀巨額損失

緩和政策からの脱却に当たっては、損失が発生することが予想され、これが障害になるという指摘がなされている。

なぜ損失が発生するのか? 現在、金利は日銀によって抑制されているが、金融緩和政策が終了すれば上昇する。金利と国債市場価格は逆比例の関係があるので、金利上昇は、国債市場価格の下落を意味する。

アメリカをはじめとして諸外国の金利が上昇しているので、日本も金利が上昇する可能性は高い。また、物価との関係でもそうだ。仮に日銀の目標どおりに消費者物価上昇率が2%になったとしよう。その場合、名目金利が上昇しなければ、実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いた指標)がマイナスになってしまい、さまざまの問題が生じる。

物価上昇に合わせて金利が上昇するとしたら、具体的にどの程度の損失が発生するか? これは、国債保有額、償還までの残存期間、そして、金利上昇幅によって大きく異なる値となる。

 

日銀の黒田東彦総裁は、5月10日の衆議院財務金融委員会で、民進党の前原誠司氏の質問に答えて、「長期金利が1%上昇した場合、日銀が保有する国債の評価損が23兆円程度に達する」とした。金利上昇幅が2%であれば、46兆円ということになる。

仮に日銀の目標どおりに消費者物価上昇率が2%になった場合には、短期金利も2%以上になるだろう。長期金利はそれより高くなるので、3%程度になる可能性が十分ある。仮に3%だとすれば、日銀保有国債の市場価格下落幅は69兆円になる。

ただし、以上で述べたのは、保有国債の価格下落だ。実際に売却すれば現実の損失となるが、国債を保有し続ければ含み損に留まる。なお、保有国債を売却すれば、市場に売り圧力が加わり、国債市場価格はさらに下落する可能性が高い。したがって、損失がこの値よりも拡大する可能性もある。