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人口・少子高齢化 ライフ 週刊現代 日本

【徹底調査】人口減少ニッポン・あの大企業はどうやって生き残るか

トヨタ、金融、サントリー…それぞれの対策

人口が減るのは恐ろしいことだ。縮む市場を奪い合い、赤字まみれで倒れる企業が続出する。経営者が判断を誤れば、会社は即死する――人口減少は確実に来る。もうなにが起きてもおかしくない。

鈴木敏文氏が本誌に語った「人口減少論」

セブン&アイ・ホールディングス前会長の鈴木敏文氏は言う。

「これまで日本で人口は増え続けてきたが、人口減少の時代へ本格的に突入します。経営者が従来の考えに安住していたら、会社はすぐに立ち行かなくなるでしょう。

人口減少は確実に起きるとわかっていて、避けられるものではない。まずは頭を切り替えることが先決です。社会が大きく変わっていく中で、企業経営者はなにをすべきかを真剣に考えていかなくては生き残れない」

日本社会がいまだ経験したことのない急激な人口減少が、いよいよ本格的に到来する。

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の最新統計によれば、これからは毎年のように世田谷区の人口(約89万人)が丸ごと消えていくほどのペースで人口減少が進み、日本は間もなく「人口8000万人台」時代へ突入する。

当然、これから消費は激減し、市場のパイが一挙に縮むことは必至。もはやなにが起きてもおかしくない「激変時代」が幕を開ける。

鈴木氏が続ける。

「これまでも、そしてこれからも、経済というのは絶えず変化し続けるものです。かつてダイエーが『日本一』と言われていたのに、変化に対応しきれなかった。大切なのは、いまある状況を前提にしてものを考えるのではなくて、絶えず変化に対応し続けることです。

私がコンビニをやっていた時も、『コンビニは3万店で飽和状態』と言われました。しかし、私はそんなことは絶対にないと言い、銀行サービスを始めたり、プライベートブランド商品を作ったり、変化に対応して新しい価値を生み出してきた。

経営者というのは、真面目に生きている真面目なひとたちが安心して生活できる社会を作ることを考えていかなければいけない。そこに向かってなにをするのか。経営者は常に、未来に向けて準備をしなければいけない。変えることは努力がいることだが、それができないと生き残れない」

 

もう止められない人口激減ニッポン――。

鈴木氏が警告するように、動きを止めれば座して死を待つのみ。自覚した日本の名だたる有名企業は一斉に準備を始め、すでに動き出している。

「日本最強企業」であるトヨタ自動車も、その例外ではない。

ピーク時(1990年)には日本全体で800万台近くあった新車販売台数が2030年代には400万台に半減するとも言われている中、トヨタも来たるべき「人口8000万人時代」に備え、国内販売の抜本的対策として『J-ReBORN(リボーン)計画』なるものを始動させた。

トヨタ幹部が言う。

「表立って発表しているものではないですが、経営陣の力の入れようは相当で、『創業80年にして最大の改革』と銘打っています。販売店関係者を集めた会議では、豊田章男社長みずから『販売店もリボーンしなければいけない』と語り、ディーラーに発破をかけている。

実はトヨタ内では、現在150万台水準で推移している国内販売台数が、10年後には130万台ほどにまで落ちるリスクがあるとの危機感がある。そのため、20万台の新たな需要を作り、150万台を維持するための施策をまとめたのがこの計画。

具体的には、クルマやレンタカーなどバラバラになっていたID情報を統合して利便性を上げたり、若者がクルマを購入しやすいように中古車販売に力を入れたりする予定です」

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コンビニはどうなる?

トヨタは計画の詳細について'15年秋から販売店に周知を始め、今年がまさに計画を「実行」に移す段階。当然、ライバルも遅れを取るまいと動き出している。特に鼻息が荒いのが、カルロス・ゴーン会長率いる日産自動車である。

「日産自動車は大型商業施設のららぽーとに販売店を初出店して、従来はつかみ切れていなかった新しい家族層などを顧客に取り込み出した。今年からは数百億円規模を投資して既存店を改装して旗艦店を作る予定で、カネの投入の仕方も大胆になっている。

しかも、この国内販売改革の陣頭指揮を執っているのが、星野リゾートの星野佳路社長の妻でもある専務執行役員の星野朝子氏。ゴーン氏がみずからスカウトし、『ゴーンが惚れた女』と言われるやり手です。

昨年にはフォルクスワーゲングループジャパンの社長だった庄司茂氏をスカウトし、国内ディーラー網を再建する本部長に抜擢する仰天人事まで断行した。人口減少という危機に乗じて、日産はトヨタの牙城を一気に崩そうとしている」(日産関係者)