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不正・事件・犯罪

森友学園の狙い撃ちは、本当に「国策捜査」だったのか

籠池理事長が最後に残した問いかけ

「弱み」はカネがないことだった

「国策捜査だから、何でもできるんやな。逮捕も覚悟しています」

大阪地検特捜部が、6月19日、国や大阪府などの補助金を不正に騙し取ったとする詐欺などの容疑で、学校法人「森友学園」などを強制捜査した。自宅で長時間の家宅捜索を受けた籠池泰典前理事長は、翌20日午前8時、報道関係者を招き入れ、疲れ切った表情でこう語った。

確かに籠池氏は、安倍晋三政権に刃向かう“異分子”となり、「国策」として検察が捜査着手した。だが、国策は政権に沿い、その意向を代弁するものだけではない。検察は、日本という国家に資することになる捜査を、国策として行うことがある。

以下に説明しよう。

今年2月、「国有地の8億円値引き販売」が発覚して以来、物怖じしない籠池ファミリーのキャラクターもあって、森友学園事件は国民の関心を集めた。特に、3月16日、野党議員団を大阪・豊中市の自宅に招き入れ、「(安倍)昭惠夫人からの100万円寄付」を暴露して以降、安倍晋三政権は完全に敵に回り、証人喚問に呼んで締め上げた。

籠池氏は、まさに四面楚歌。大阪府は建設工事が9割以上、進んでいた「瑞穂の國記念小學院」の認可を出さないと脅し、弁護士は籠池氏の元を離れ、府の意向を代弁するように「申請を取り下げるように」と勧め、忖度して安値払い下げに応じてくれた財務省は掌を返し、「配慮したことはないし、交渉記録は残っていない」と、開き直った。

 

そのうえ頼みの綱の昭恵夫人は、小學院の名誉校長職を辞し、やがて籠池夫人との連絡を断ち、「非常に教育熱心」と、当初は褒めていた安倍首相は、「しつこい人」と、忌避するようになった。3月23日の国会喚問は、「100万円発言」に安倍首相がブチ切れ、菅義偉官房長官が意を汲んで仕掛けたものだが、籠池氏の明瞭で明確な証言は、むしろ官邸や財務省の不誠実さを浮かび上がらせた。

私は、証人喚問の直後、籠池氏に2時間半のロングインタビューを行い、彼の「強み」と「弱み」を、ある程度知ることが出来た。

「強み」は、理想の小学校設立へ向け、熱心な活動を続け、安倍夫妻も含め、政治家と官僚を使いたいだけ使っていたものの、裏で賄賂を贈って行政を歪めるようなタイプではなかったこと。正面突破の人であり、贈賄工作には遠い印象だった。

「弱み」はカネがないこと。幼稚園、保育園はそれなりの規模だったが、小学校を一から立ち上げるとなると、「借金なしの土地取得」を始め資金が必要。ところが、籠池氏には資金がなく、スポンサーもいなかった。

安倍首相夫妻の看板利用はやむにやまれぬ戦略。それが功を奏して「神風」が吹き、8億円の値引きが可能になったが、それでも足らず、家宅捜索容疑となった国交省や大阪府の補助金不正受給疑惑につながった。

それ以降、森友学園は民事再生法の適用申請、保育園の事業停止命令を受けるなど追い詰められて行くが、疑惑の発端である「国有地安値払い下げ」に、籠池氏が不正な働きかけをしたのではなく、財務官僚らの忖度であることが明確になった。

つまり、森友学園に投げかけられた疑惑のうち、補助金不正受給については、「ルールの逸脱」で済むかどうかは疑問だが、「安値払い下げ」については、籠池氏の関与を問うのが、逆に難しくなっていた。

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