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医療・健康・食

日本人よ、「筋トレ神話」から目を覚ませ!

「筋肉」よりも「骨」を鍛えよ

「筋トレは老化を早める」と聞くと、多くの人は「そんなバカな!」と思うだろう。しかし、実は「筋トレ」には大きな落とし穴がある。話題書『50歳からは「筋トレ」をしてはいけない』を上梓した「からだの学校」主宰者の勇崎賀雄氏が、知られざる筋トレのリスクを明かす。

筋トレの動きは「不自然」

東京・五反田のビルの中にあるダンススタジオのような一室。身体哲学者の勇崎賀雄氏が主宰する「からだの学校」では、不思議な光景が繰り広げられていた。

老若男女がみんな裸足になって、直径5センチくらいの木製の球に乗っている。バランスを取るために、椅子を両手で持って身体を支えながら乗っている人もいるが、中には足の指の関節で、球をはさんで歩いている人もいる。一本歯の「高下駄」ならぬ「球下駄」である。

いったい、どんな効き目があるのだろうか。勇崎氏はこう語る。

「この球に乗ると、足の指節関節に自分の体重が乗ることで、足・脚から腰にかけての関節が連動して振動するんです。すると、普段どうしても落ち込んで沈みがちになっている腰が、しゃんとするようになります」

 

実際に、参加者の50代男性が、この「玉下駄」の効果のほどを語る。

「最初は痛くて乗ってられなかったんですけど、慣れると全身から汗が出てきて、気持ちいいんです。私は腰痛持ちなんですが、これをやると腰の違和感がすっきりするんですよ」

日本はいま、空前の筋トレブーム。しかし勇崎氏は「とくに中高年は、筋トレをしてはいけない」と言う。なぜだろうか? 

「そもそも筋トレというのは、人間の通常の動きから考えると、きわめて不自然な動作なんです。動物を見ているとわかると思いますが、ふだん、からだを動かすときに、完全に静止した状態から負荷をかける、という動きはしませんよね。例えば重いものを持ち上げるときには、みなさんはずみをつけて持ち上げているはずです。

私は筋肉そのものを否定しているわけではありません。骨と連動した理にかなった動きをしていれば問題ない。ただし、筋肉の力に頼らないとからだを動かすことができないかというと、必ずしもそうではないんですね。

たとえば、カンフーやヌンチャク、鎖鎌といった武器の達人や、舞踊の名人は、何歳になってもしなやかな動きをしています。しかし彼らの筋力が、普通の人に比べてとりわけすぐれているわけではありません。テコや振り子の原理をうまく利用して、筋肉の力だけに頼らない無駄のない動きを会得しているんです。

教室での勇崎氏