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「今年の巨人がこんなに弱い理由」を統計学で解明してみた

実は、球団の「あの伝統」が原因だった

昨日(6月20日)まで29勝36敗、4位と低迷し、5月から6月にかけて球団ワースト記録となる13連敗を喫した巨人。

これほどまでに成績がふるわない要因は、いったいどこにあるのだろうか。

メジャーリーグ(MLB)でも重要視されている「セイバーメトリクス」を使って詳しく分析してみると、巨人が今年こんなに弱い理由がハッキリとわかった。

メジャーリーグでは常識

セイバーメトリクスとは、野球の戦術や選手評価を統計学的に分析する手法で、1970年代にMLB愛好家のあいだで広まった。

米オークランド・アスレティックスが90年代にこの手法を取り入れて球団運営を行い、結果を残したことで注目を集めるようになった。ブラッド・ピット主演で2011年に映画化されたノンフィクション作品『マネーボール』の中でも紹介されている。

既存の指標では測れない「選手個人の得点能力」や「勝利への貢献度」を測れるのがセイバーメトリクスの特徴だ。

 

たとえば、打率はヒットを打つ確率を示す指標だが、打者が塁に出る手段はヒットだけでなく、四球もそうである。野球は塁に出ることが得点につながるわけだから、打率よりも「出塁率」のほうが得点との相関性が高いことは自明だ。

さらに、ヒット1本あたりに稼ぐ塁の数を示す「長打率」も、得点との相関性が高いことが知られている。

そこで、出塁率と長打率を足し合わせた「OPS」という指標が、セイバーメトリクスにおける打者の指標として普及するようになった。

ちなみに、メジャーリーグのOPSは平均で0.6。0.8を超えると主軸クラスの打者と評価され、1を超えるとリーグを代表する強打者と評価される。

「得点力不足」は誰の目にも明らか

さて、セイバーメトリクスでは、チームや個人の好不調の波を可視化する工夫がなされている。巨人のここまでの結果を、統計学の手法で平滑化した得失点グラフで見てみよう。

巨人の得失点移動平均(2017年)巨人の得失点移動平均(2017年)
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縦軸は得点、横軸は試合数。赤く塗りつぶされた部分は、得点が失点を上回る調子のいい時期で、青い部分は逆に、失点が得点を上回る不調の時期を示している

今シーズンの巨人は、得点が4点を上回ることがない状態が続き、得点力が不足していることが一目瞭然である。投手が踏ん張ることで勝てた時期もあったが、5月以降は投手陣も崩れ、泥沼にはまってしまったと言える。

投手の能力を測る指標に「クオリティスタート(QS)」というものがある。先発投手が6回以上投げて自責点3以内に抑えれば、QSが記録される。自チームの得点能力に依存せざるをえない「勝利」とは違って、先発投手がどれだけ責任を果たせたかを知る指標と言える。

全先発登板に対してQSが占める割合をQS率と呼び、連敗に突入するまでの巨人はこの数字が62.8%と高い水準だった。ところが、連敗中のQSは13試合中わずか3試合。10試合では先制点を奪われ、優位な試合展開に持ち込むことができなかった。

現在、セ・リーグの1、2位を走る広島、阪神と比べると、その低迷ぶりがはっきりとわかる。

広島の得失点移動平均(2017年)広島の得失点移動平均(2017年)
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阪神の得失点移動平均(2017年)阪神の得失点移動平均(2017年)
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ここからが本題だ。セイバーメトリクスであぶり出された「今シーズンの巨人が弱い理由」の核心に迫ってみよう。