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企業・経営

SBIホールディングス創業者が語る「出会いの哲学」

出会うべき人には、必ず会える

証券業界の雄、SBIホールディングスの北尾吉孝社長(66歳)を取材した。野村證券に勤務していた'95年、部下とともにソフトバンクを担当した縁により同社へ入社。

'99年、金融とITの融合を目指し現SBIホールディングスを創業。現在はソフトバンクグループと友好関係を保ちつつ独立し、バイオ事業にも参入、独自路線で自社を発展させている。今年の決算で連結総資産3兆円を超えた企業を築いた人物の素顔に迫った。

SBIホールディングスの北尾吉孝社長

出会うべき人には必ず会える

【流されず】

野村證券は、意見が異なれば上司ともケンカできる素晴らしい企業でした。入社してすぐケンブリッジ大学へ留学、帰国後は海外向けに日本企業のリサーチレポートを書き、「いかにすれば中東のオイルマネーを日本向け投資に引っ張れるか……」といった戦略を練りました。

その後はニューヨーク駐在や本社の事業法人部を経て、国内外のM&Aを手がけるためロンドンへ赴任し、帰国後、孫さんと出会いました。これらは天命だったのでしょう。就職活動の時、大手銀行、商社からも内定をもらい、周囲には銀行入りを薦められました。

しかし恩師に「君は純粋だから言いたいことを口にしてしまう。落ち着いた銀行業界より、覇気が問われる証券会社の方が向いているんじゃないか?」と言われ、私は自分の明確な意志でこの業界を選びました。入社以降のすべては、その結果です。

【逢着】

SBIを創業したきっかけは、'99年に孫正義さんからお声かけいただいたからです。私は「10日間、考える時間を下さい」と伝え、彼について語られている新聞、雑誌、書籍すべてに目を通し「孫さんは希なる素質を持った経営者」、また「デジタル情報産業は今後大きく伸びる」と結論づけました。

「人間は出会うべき人には必ず会える。一瞬遅からず一瞬早からず」という哲学者・森信三の言葉を思い出します。

【付箋】

少年時代より現在まで、幾度となく論語を読んできました。高校、大学時代と現在まで、付箋をつけるページが少しずつ変わってきているのが、我が事ながら興味深い。

ほか、森信三先生の「修身教授録」を含む全集、安岡正篤先生の諸著作からも非常なる学びを得ました。すぐれた創業者の多くは教養人です。同時に「知行合一」を実践してもいます。学び、思い描いた「こう生きるべき」を、知識にとどめず日々実践するのです。すると人が付いてきて、周囲に志念が共有され、自然と事業ができあがります。

【人事観】

SBIグループには20代の社長もいます。論語には「後生畏るべし」という言葉があります。人類は「昨日より今日、今日より明日」と進歩を続けてきました。若者は先達を土台にし、乗り越え、未来を創っていく。私のような年長者は、これを大切にし、畏れるべきなのです。

年寄りは跋扈してはいけない。思想のみを共有し、「これぞ」と思った人物がいたら大抜擢でも何でもし、権限を与えるべきだと思います。

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