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驚くことに、住宅ローン完済までの平均期間はわずか14年だった

住宅ローンを極める②

30歳で35年の住宅ローンを組んだら、完済できるのは65歳。まして40歳になってからの購入だと、75歳になってしまう。定年後にそんなに稼げるはずはないし、公的年金など頼りにならない。そう考えると怖くて、とても住宅ローンなど組めない――そんな不安を抱きながら、なかなかマイホーム購入に踏み切れない人がいるのではないだろうか。

でも、それは勘違いかもしれない。住宅ローンを甘くみてはいけないが、必要以上に怖がる必要はない。逆に怖がってばかりいると、老後はそれこそホームレスになりかねないのだ。

半数近くは25年以内で組んでいる

2015年度に住宅ローンを組んで住宅を取得した人たちの当初の貸出期間をみると、図表1のようになっている。最も多いのは、「(25年超)30年以下」の44.8%だが、「(20年超)25年以下」が24.3%で、25年以内で組んでいる割合の合計は45.6%と半数近くに達する、反対に「(30年超)35年以下」は9.6%と全体の1割弱にとどまっている。

図表1 住宅ローンの貸出期間と完済までの経過年数の分布

全体の単純平均をとると25.4年で、過去の推移をみると、12年度25.2年、13年度25.1年、14年度25.7年と、このところは25年台が続いている。これを見る限り「住宅ローンは30年、35年と続くもの」という思い込みは大いなる勘違いといわざるを得ない。

つまり、みなさん、できるだけ早く返済を終えてラクになりたいと、可能な範囲で返済期間を短くしているわけだ。

もちろん、期間を短くすればその分毎月の返済額が増えるから、あまり無理をするのは禁物だ。ローンは返せたが、家庭が崩壊したのでは本末転倒だが、可能な範囲で返済期間を短くしておけば、総返済額は格段に少なくなる。

借入額3000万円、金利1%でみると、35年返済だと毎月8万4685円で、35年間の総返済額は約3557万円。それが、20年返済だと毎月13万7968円に増えるものの、総返済額は約3311万円ですむ。総支払額で246万円もトクできる計算だ。

しかも、借入後にリストラや病気などさまざまな事情で返済が苦しくなったときには、最長返済期間である35年まで返済期間を延長することが可能。20年を35年に延ばせば、金利などの条件にもよるが毎月の返済額を4割ほど削減できるので、何とか返済を続けることができるようになるかもしれない。

利用する返済期間を短くするということは、総返済額でトクできると同時に、万一に備える安心材料にもなるわけだ。

4割近くは10年以内に返済を終えている

しかも、平均25.4年返済で組んでスタートする住宅ローンだが、繰上げ返済などによって実際にはそれよりかなり早く返済を終えている。

やはり図表1をご覧いただくと分かるように、完済までの平均経過期間を5年刻みでみると、「10年以下」が37.3%と最も多く、次いで「(10年超)15年以下」が33.3%で、15年以内に完済している人が合わせて70.8%に達する。反対に、完済まで15年超かけている人は3割以下にとどまる。まして、「(30年超)35年以下」の人はわずかに0.7%というのが現実だ。

全体の平均をみると、16年度は14.4年。12年度は13.7年だったから、少し長くはなっているものの、当初は平均25.4年でローンを組んでも、実際にはそれより11年も短い14.4年で完済している。

これなら、30歳で組んでも40代半ばで終了し、40歳であっても50代半ばで終わる。40歳で組んだ場合など、年齢が高くなるほど収入は増えるだろうから、繰り上げ返済などによって完済までの期間がいっそう短くなる可能性がある。

日本人の勤勉さはこんなところにも表れている。最近はそんな日本人の特性も随分失われつつあるといわれるものの、実はまだまだ捨てたものではないのかもしれない。あまり怖がらずに住宅ローンを組み、若いうちに多少頑張ってマイホームを取得しておくことが老後の安心につながるのだ。