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活字アレルギーの“ガングロチャラ男シェフ”が唯一はまった本とは

第18回ゲスト:茂出木浩司さん(後編)

大人の遊びを知り尽くした伝説の編集者・島地勝彦が、ゲストとともに“男の遊び”について語り合う「遊戯三昧」。2017年最初の今回は、“顔が黒すぎる超チャラ男”でおなじみ、日本橋「たいめいけん」三代目シェフ茂出木浩司さんをお迎えした。茂出木シェフと島地との共通点とは――。

前編【 三代目が明かす、ガングロの矜持

初代、二代目がやらなかったこと

島地: 最近「たいめいけん」は日本橋以外でも盛んに店舗展開していますね。

茂出木: はい。そうなんです。日本橋の本店が基本になるのは変わりませんが、そこだけにとらわれていると商売に広がりがなくなってしまうでしょう。お客様を待つだけでなく、果敢に打って出て攻めることも必要だと思っています。これは初代、二代目はやらなかったことで、三代目である私の責任として、それこそ全身全霊を傾けています。

島地: 「洋食や 三代目 たいめいけん」もあるし、デリカテッセンもやっていますよね。なかなか商売上手じゃないですか、三代目。

茂出木: 「洋食や 三代目 たいめいけん」は駅ナカ、駅チカで「たいめいけん」のメニューを楽しんでいただくコンセプトで、新規開拓の意味があります。

あと、宣伝のようになってしまって恐縮ですが、今年の3月、富山県美術館に「日本橋たいめいけん富山店」をオープンしました。地方での出店は他にも考えているし、ゆくゆくは海外へも、という夢があります。

島地: 初代や二代目がやらなかったことに挑戦する、か。海外まで視野に入れているとは、なかなか攻めますね。

茂出木: ただ、あんまり前のめりになると足元をすくわれかねないので、攻めと守りのバランスはいつも考えています。やっぱり、根が臆病なんで(笑)。

日野: 多店舗展開していくと人も増えますよね。今、社員の数はどれくらいなんでしょうか。

茂出木: 正社員、パートを含めて100人くらいでしょうか。

若いヤツらはもっと「ギラギラ」しろ!

島地: 最近の若い料理人はどうですか?

茂出木: みんな真面目ですよね、びっくりするくらい。昔は、料理人の修業をするのは不良上がりみたいな連中ばっかりだったんですが、最近は面接しても「日本の洋食文化を守っていきたい」とか、その歳でそんなこと考えてるのか!と驚いてしまいます。

島地: 真面目はけっこうですが、真面目すぎるのも考えものですね。

茂出木: そうですよ。ぼくが若い頃なんて、もう、頭の中は「波に乗るか、クルマに乗るか、女に乗るか」、それだけでしたから。

島地: そう、そう。昔の若者はみんなそんな感じでした。でも、そうやって遊んでいるだけでは決して満たされないから、いつも飢餓感が沸々としていて、それが仕事をするエネルギーにもなっていました。

茂出木: 草食男子とか、さとり世代とかいいますが、ちょっと冷めているな、と感じます、確かに。若い人はもっとギラギラしていていいと思うんですけどね。

島地: 出版界も同じですよ。ぼくが入社した頃は、出版社なんてところは、社会に適合できないハンパ者の集まりでしたが、「おもしろいものをつくる」という熱さはビンビンに伝わってきました。最近は、一流大学を優秀な成績で出た頭のいい編集者ばかりで、そつなく仕事はこなすけれど、悪い意味でサラリーマン化していて物足りなさを感じますね。

日野: そんなこといったって、島地さんの頃とは環境がずいぶん違うんですから、仕方ないですよ。

島地: と、小賢しい理屈を並べるのは得意なんですね。日野なんか、波に乗ることもクルマに乗ることも女に乗ることも、ぜんぜん考えてない。ギラギラがまったくない。仕方ないからそばに置いてやって、お金使い方、遊び方を教えてやっているんですよ。

日野: 誰も頼んだ覚えは……。

島地: なんか言ったか?

日野: いや、はい、いろいろ勉強させていただいています。でもまあ確かに、クルマに興味がない人はまわりにも多いですね。