〔PHOTO〕三浦咲恵
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パナマ断交で危機に立つ台湾。中国の脅威を前に、日本は?

台北駐日代表が語る日台関係の展望

6月13日、衝撃的なニュースが、アジアを駆け巡った。同日午前、中国の王毅外相とパナマのドゥシェマロ副大統領兼外相が北京で、「中華人民共和国とパナマ共和国の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」にサインし、両国が国交を樹立したのだ。

これで中華民国(台湾)を承認する国は、20ヵ国に減った。昨年12月にも、中国は西アフリカのサントメ・プリンシペと国交を樹立し、中華民国と断交させている。

 

パナマは台湾が、中南米で最重要視している友好国だった。1912年の中華民国建国以来の盟友で、蔡英文総統は就任した翌月の昨年6月、真っ先に訪問して友好関係を確認している。それから丸1年を経て、パナマは台湾を見捨てて中国に走ったのである。中国からは早速、約10億ドルの港湾建設の“ご祝儀”が出た。

怒りが収まらない蔡英文総統は同日、「これは地域の安定を損なう非難すべき出来事で、(中国との)両岸関係を見直していく」と決然と語った。

このように蔡英文政権が昨年5月に発足してから1年あまり、中台関係は悪化の一途をたどっている。今後、中台は、朝鮮半島と並ぶ東アジアのもう一つの火薬庫となっていくのか。また、これからの日台関係はどうあるべきなのか。台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)の代表(大使に相当)に就任して1年になる謝長廷元行政院長(元首相)に、緊急インタビューを行った。

以下、謝代表と私との一問一答である。

台湾人の民意は「現状維持」

――中南米の要衝だったパナマが“陥落”し、台湾と国交を樹立している国は20ヵ国となりました。

思えば蔡英文・民進党政権が発足してからこの一年というもの、蔡政権が「一つの中国」(中国大陸と台湾は一つだとする1992年に双方が確認しあったとされるコンセンサス)を承認しないため、台湾への圧力を強めています。

昨年9月にはICAO(国際民間航空機関)総会から、同年11月にはICPO(国際刑事警察機構)から台湾を締め出しました。そして先月(5月)には、それまで8年連続で参加を認めていたWHO(世界保健機関)総会からも締め出してしまいました。

こうした中国の圧力について、どのようにお考えでしょうか?

謝代表: 本当に、あってはならないことが、次々と起こっています。

私がまず日本の方々に申し上げたいのは、台湾社会は日本と同様、自由と民主主義を基本とする社会だということです。

たしかに国民党政権時代の1992年、中国と「一つの中国」について話しましたが、いまの台湾人の民意は「一つの中国」ではありません。また、わが民進党の綱領に掲げている「台湾独立」でもありません。

台湾人の民意は、「現状維持」です。だからこそ昨年、「現状維持」を訴えた蔡英文・民進党主席が、圧倒的多数の支持を受けて総統(大統領)に選出されたのです。そのため、この一年あまり、蔡英文政権は台湾人の民意に従って、「現状維持」を貫いてきました。

それを中国側は、強権を発動して、力で台湾をねじ伏せようとしている。だが、そうしたことによって、ますます台湾人は中国に反発していくわけです。中国側は台湾人の民意を重んじ、「現状維持」を基礎とした両岸関係の構築を考えていくべきです。