医療・健康・食 ライフ 週刊現代

医師が警告!ラジオ体操は「膝」と「腰」を痛めます

簡単な運動、と甘く見てはいけない
週刊現代 プロフィール

長年同じ運動を続けているうちに、自分の身体の衰えに気づかずに過ごしてしまうことがある。ましてやラジオ体操は軽い運動、と甘く見てかかる人も多いところが「落とし穴」なのだ。

ラジオ体操で悪くしてしまうのは膝だけではない。製鉄工場で働く友部弘樹さん(64歳・仮名)は、ラジオ体操で身体を痛めた経験をこう振り返る。

「若いころはスポーツで鳴らしていました。工場で働き出してからも、数十年現場でバリバリ身体を動かしてきて、身体は丈夫だと自負していました。

うちの職場では、朝礼の前にラジオ体操を欠かさずやりますが、文字通り『朝飯前』の運動だと高をくくっていましたね」

 

ある日も仲間と談笑しながら、元気よくラジオ体操をこなしていた友部さんだったが――。

「思い切り前屈をした瞬間、腰に刺すような痛みが走って、そのまま倒れこんでしまったんです」

病院での診断は椎間板ヘルニア。急激に腰を動かしたことで、ギックリ腰の症状が出てしまったのだ。

「腰椎の骨と骨の間にある椎間板が傷むと、椎間板の中身がズレやすくなります。すると背骨に沿って走っている神経とぶつかり、腰痛や坐骨神経痛の原因になるのです。

加えて、腰回りの筋肉が硬くなっていると、骨盤がきれいに前傾できないので、ラジオ体操の前屈や後屈のような動作を勢いよくやると、椎間板がズレてしまうケースはよくあります。

同様に頸椎や股関節など関節可動部にも要注意で、無理な動きをすれば簡単に痛めてしまうのです。きちんと身体を使える自信がなければ、可動部を酷使する動きは避けたほうがいいでしょう」(前出・銅冶氏)

Photo by iStock

実はかなりハードな体操

ちなみにラジオ体操のなかには、きちんと身体を使わなければ、あまり効果がない動作もある。

たとえば、体操第1の「身体を横に曲げる運動」は、しっかりと背骨まで曲げず、肘だけを曲げて身体を傾いているようにしているだけでは、背骨を柔軟にする効果がない。

また体操第1の「身体をねじる運動」も、腕をしっかりと振り上げることができなければ代謝を促進することにはならない。筋肉量が落ちたり、痛みがある部分があったりすると、ついごまかしながらやってしまいがちな動作なのである。

そもそも現在のラジオ体操第1・第2の放送がはじまったのは'51年のこと。この年の平均寿命は、男性60.8歳、女性64.9歳だった。つまり、そもそもラジオ体操の中身は、60歳以上の人が毎日行う前提では作られていないのだ。

また、60代の平均的な肥満度も、当時は男女ともに21前後だったのが、いまは男性24、女性23程度とやや増えている。体重が増加しているぶん、下半身への負担の程度も大きくなっている。

現在放送されているNHKのラジオ体操では、「ラジオ体操の前に筋肉をほぐすウォーミングアップ体操を行いましょう」と推奨している。つまり、高齢者にとってラジオ体操は手軽な運動ではなく、準備体操を要求するほどハードなものと捉えたほうがいいのだ。

新メディア「現代新書」OPEN!