Photo by iStock
企業・経営 経済・財政 週刊現代

テレビ局社長が「高級ホテルの宿泊費」巡って国税と大バトル!

社長・役員の経費が、いま狙われている

社長の経費の使い方については、経理部を含め社内ではなかなか注文が付けられないだろう。だが、国税は見逃さない。むしろこれから、社長や役員の経費は、彼らに徹底的に調べられることになる。

社内規定の3倍の金額

「渡邉氏は、'69年のテレビ宮崎開局時に入社した、いわば同局の『生き字引き』。10年以上も社長を務めてきて、今回のことがまさかこんなにも大事になるとは思ってなかったでしょう。

一部には、氏の追い落としを狙った反社長派が、国税に『リーク』したのではないか、という噂も流れている」(地元紙記者)

宮崎県最大の民放テレビ局・テレビ宮崎の渡邉道徳代表取締役社長(71歳)が、'15年秋の熊本国税局による税務調査で「出張に際し、社内規定を超えた宿泊代を経費で支払わせていたのは個人所得にあたる」と指摘され、追徴課税されていたことが明らかになったのは、5月末のこと。

渡邉氏は東京へ出張する際、有楽町にある帝国ホテルなどに経費で宿泊していたが、氏が宿泊していた部屋の宿泊代金と、同社の規定であらかじめ定められている宿泊経費の上限には、大きな乖離があった。

熊本国税局が認定した「超過分」は、4年間でおよそ1000万円。渡邉氏が納付した追徴課税金は'15年度までの4年間で合計約600万円にのぼる。

「規定を遥かに上回る金額を支出していたうえ、渡邉氏が追徴額を納めたあと、それをさらに超える金額の役員報酬引き上げを取締役会に諮らずに決定して『穴埋め』していた」(前出・地元記者)

一昔前であれば、経理処理上の「ミス」として、会社内で静かに処理されていたかもしれない問題だ。だが今回は、勝手が違った。

「数人の非常勤取締役が、『コンプライアンス上、問題ではないか』と声を上げ、取締役会が紛糾しました。当の渡邉氏は『病気で入院中のため取材には対応できない』と、すっかり雲隠れしてしまった」(前出・地元紙記者)

渡邉社長は'04年に社長に就任。以来、13年以上にわたり社長の座を守り続けている、いわば同局の「ドン」。経費の使い方などいかようにもできる立場にあったことは想像に難くない。

「渡邉氏は入社から一貫して営業畑を歩み続け、大型リゾート『シーガイア』と組んで大きな音楽イベントを成功させるなど、実績を残してきた。

地元商工会議所の副会頭も務め、経営上の数字も安定しているので、社内基盤は盤石。『80歳まで務めるのでは』という声もあった。

ところが一転、この6月中の株主総会をもって退任することが決定。表向きは『体調不良のため』と発表していますが、今回の一件が『引き金』になったのでは、とも囁かれています」(前出・地元紙記者)

社長ともなれば出張中、ホテルに帰っても打ち合わせなどの「業務」をこなす必要も、もちろんある。企業としての対外的な印象も考えれば、帝国ホテルに泊まっても問題はないという意見もあるだろう。

前出の地元紙記者が言う。

「渡邉氏が泊まっていたのが『スイートルーム』だったことで、今回の一件が大きく注目を集めました。テレビ宮崎の社内規定では、社長が出張する際の宿泊費は1日4万円までと決まっているなかで、規定を上回るどころか3倍以上の金額の部屋に泊まっていた」(前出・地元紙記者)

 

「体調上の理由」は通るのか

帝国ホテルのスイートルームは、本館、タワー館と棟によって仕様が異なるものの、広々としたベッドルームに隣接するリビングルームには絨毯が敷き詰められ、調度品はイギリス人デザイナー、ジュリアン・リード氏によって選び抜かれた逸品が揃っている。

さらに、本館のスイートには洗面台がふたつあり、洗面所用テレビまである。

一人で宿泊した場合、料金は一番安いスイートでも12万円はくだらない。仮に、このもっともリーズナブルなスイートを常用していたとしても、同社規定で支出される4万円を差し引いた超過分を8万円とすると、4年間で125回、1年あたり約30回は宿泊していた計算になる。

なぜ、スイートルームだったのか。テレビ宮崎の担当者は、「渡邉社長には重大な持病があり、人工透析や救急医療設備をすぐに準備できる特別な部屋に泊まらなければいけなかった」と説明している。

帝国ホテルの広報が言う。

「これは広く公表しているわけではありませんが、体調に不安を抱えたお客様からご相談を受け、医療機器などを搬入しやすいお部屋をご用意することは少なからずございます」