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ついにメガバンクに「大失職時代」がやってきた!

AI導入に「4000人の配置換え」…
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フィンテックの導入を急ぐ金融業界の中で存在感を増しているITベンチャー企業が、クラウド会計サービスを提供する「freee」だ。同社は、中小企業向けにインターネット上で経理処理できるサービスを提供する。'15年12月には三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行など、11の銀行との協業を発表。

freeeの持つ会計データを元にこれまで手の回らなかった中小企業や創業支援など、新たな融資先を開拓している。すでに横浜銀行や鳥取銀行と組んで具体的な融資サービスも始めた。

将来的には経理情報をデータ化して大量に蓄積し、AIが分析することで、その会社の経営状態が明確にわかるようになるばかりか、どのくらいの資金需要があり、かつ与信の程度が判断できるようになるという。

その判断を元に金融機関が投融資の判断を下すというのが、同社が思い描く一つのビジネスモデルだ。

同社執行役員で社会インフラ企画部長の木村康宏氏がインタビューに応じた。

「私たちの会計サービスが浸透することで、たしかに今の銀行がしている仕事がなくなることはあると思います。

ただし、うちのサービスは事務作業を省略し、これまで手の回っていなかった分野をやりきるためのツールだと思ってもらいたいですね。

これまで銀行では中小企業の担当者がいても、各社の決算書を読み込むことに人員を割くことはできませんでした。そもそも銀行に担当者がいない中小企業もある。

大企業や高齢者が収益の中心である銀行の今までのやり方だと、中小企業への融資まで細かく見ていると採算割れしてしまうんです。

そういった中小企業や創業支援の与信を、私たちのクラウド会計サービスを使って判断しましょうというやり方です」

 

まず中間管理職が用済みに

数多くの金融機関とタッグを組めば、多くの企業の財務データが集まっていく。融資の判断も同社の基準が元になっていく。

であるならば、自分たちで手元資金を貸し付けたほうが大きく稼げるのではないか。今後、銀行の持つ融資という機能を、freeeが奪うのではないか――。木村氏に率直に聞いた。

「将来的に当社のおカネで融資するという選択肢もあると思います。

ただ、当面は難しい。現在はどんどん作業が自動化していって、余った人員を他のやるべきことに振り分けていく状況だと思います。当然、ある程度、作業の自動化が進むとついていけない人間が出てくるでしょう。それは仕方ありません。

ついていけない人間が増えて解雇せざるを得ない状況になったら、もはやそれは銀行の問題というよりも、社会保障の問題ではないでしょうか」

PepperPhoto by GettyImages

自分たちの居場所が銀行からなくなってしまうのではないかと怯える銀行員は多い。みずほ銀行の管理職(40代)は心境をこう語る。

「単純な業務に関しては人間よりもAIのほうが正確で速いに決まっている。そうなると近い将来、これまでの銀行員が行ってきた業務は大きく様変わりするでしょう。

今は個人の資産運用の相談業務には行員が対応していますが、すぐにロボットが対応するようになるはずです。企業の有価証券報告書を分析するアナリストの仕事も必要なくなるかもしれません。また、資産運用を行うディーラーもいなくなり、AIが売買するようになるかもしれません。

最近は店舗でも、ATMコーナーに行列ができるほど混雑することはなくなりました。現金は銀行でなくともコンビニで引き出すことができるし、そもそもスマホなどで決済するケースも増えているからでしょう。

銀行の店舗は街の中心地にありますが、多くの人が現金を使わなくなれば、店舗は要らなくなりますし、何台ものATMを置いておく必要もなくなる。いずれ支店は半減してしまうのではないか。私自身も近い将来、どんな仕事をしているのか、想像もつきません」

融資の審査や書類の作成に携わってきた人員。その書類にハンコを押すだけの中間管理職。ある意味で、これまでの銀行業務の「中心」にいると思われていた人材から用済みになる。時代の流れとはいえ、そこに割り切れない思いを抱く銀行員も少なくない。