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企業・経営 経済・財政 週刊現代

ついにメガバンクに「大失職時代」がやってきた!

AI導入に「4000人の配置換え」…

三井住友銀行の「4000人配置換え」は「銀行員にもう仕事がない」ことを証明している ――超低金利と「手数料目当て投信」の販売禁止で、稼ぐ方法も手段も見失ってしまったのだろうか…。

超優秀なAIに仕事を奪われる

「私はこれから何をすればいいのですかね……」

大手信託銀行に勤める職員(40代後半)は喫煙所でこう呟いた。彼は20年にわたって都内の支店で勤務してきた内勤のベテラン職員だ。

営業マンが顧客からもらってきた契約書などの書類の内容に誤りがないかをチェックしてきた。このチェックを経ないと、上司に書類が渡らず、決済ができない仕組みだった。

その仕事がなくなる。

この信託銀行では、人の手による書類チェックが今年度から段階的に廃止されることになったからだ。同行の課長(50代)が話す。

「彼らは現場を経験し、どこにどんな誤りが潜んでいるのかを知り尽くした人材です。

たとえば、融資や投資の実行日が休日になっていないか。投資商品ならば、顧客の資産や年収に比べて無理な取引になっていないか。ハンコやチェックが漏れていないかなど、その確認は細部に及びます。

これまでの銀行業務では、そうした長年の経験の積み重ねによって培われた能力が必要でした。

しかし、今後は書類が電子化され、手書きの書類がなくなってしまうんです。営業マンは各自タブレット端末を支給され、そこに必要事項を打ち込んでいく。

コンピュータが入力ミスなどを指摘して、その場で完璧な書類ができあがる。後はそれを上司に転送するだけ。

これまで重要視されてきた仕事が、IT化によってあっさりと必要なくなってしまう。実に残酷な話です」

書類のチェックにあたっていた職員は全員の配置換えが決まった。どの部署に異動するかはまだ決まっていない――。

冒頭の職員はこうぼやく。

「新しい職場で能力を活かしてほしいと言われても、私はこの仕事を20年やってきたんです。これから新しい知識や技術を一から覚える気力はありません」

 

銀行員の仕事が激変している。これまで人の手によって行われてきた仕事が、コンピュータに取って代わられていく。

今後、銀行の業務に導入されていく人工知能、AIは金融業に変革をもたらす。AIは単なるプログラムではない。自ら学び、進化していく。周知のとおり、囲碁では世界チャンピオンをAIが負かし、今後、二度と人間は勝てないと言われている。

定められたルールと情報を入力すれば、人間の知能とは比べ物にならないスピードで「正解」へとたどり着くのだ。その能力は、金融業という分野でも圧倒的なパフォーマンスを発揮する。

その結果、ダブついた人員は行き場を失い、閑職に追いやられる。彼らを組織内に抱えるだけの体力があるうちはいい。だが、長くはもたない。

予兆はすでに表れている。今年4月、三井住友銀行は銀座の新名所「ギンザシックス」内に次世代型の店舗をオープンした。この銀座支店の特徴は「ペーパーレス」で、従来の店舗にあった記帳台などは設置していない。

その代わりに特殊な端末によってサインの筆跡や文字を書くスピードを読み取って本人確認をするため、印鑑を使わずに口座開設や預金の引き出しなどができる。

三井住友銀行は今後3年間で、全店舗をペーパーレス化し、相談業務を中心とする次世代型の店舗に移行する。事務作業は事務センターに集約し、AIなどを使って作業の効率化を図ることで、約4000人を新たな事業部門に移すという。

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同行の40代の中間管理職は不安げだ。

「店舗が減らないとはいっても、これまでどおりの仕事ではなくなるでしょうから、自分のこれまでのスキルでやっていけるのか、漠然とした不安はあります。同期の行員数人と飲んだときにも、AIに関する話題が出ました。

『客からの照会にロボットが対応するようになったら、俺は銀行にとって必要のない存在かも』とか、『企業の与信審査をロボットがやるようになったら、俺も要らない』など……」