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裏社会

神戸山口組幹部が初めて明かす「分裂騒動の深層」

井上組長の逮捕を機に、口を開いた

幹部が語り始めた

神戸山口組の井上邦雄組長が、6日、知人女性名義で携帯電話を購入・詐取したとして逮捕された。

実害のない微罪で、起訴されるケースはほとんどないが、三つに分裂した山口組のトップが逮捕されたのは初めてのこと。「山口組の壊滅を図られたい」と、坂口正芳・警察庁長官が全国警察本部長会議で“檄”を飛ばした翌日だけに、「次の展開もあるのではないか」と、観測する向きもあった。

井上組長には、今年1月、京都で起こった会津小鉄会の分裂騒動に際し、神戸山口組系山健組を中心とする勢力が京都に乗り込んで、会津小鉄会本部を制圧する騒ぎがあった。井上組長は神戸山口組と山健組の両方のトップを兼ねる。逮捕が京都府警に続く可能性はあるが、これも井上組長の指示命令を確定するのは難しい。

それはともかく、この事件を取材する過程で、私は、神戸山口組の幹部や井上組長の周辺者に接触、神戸山口組分裂騒動の深層に触れることができた。

 

4月30日、神戸山口組の織田絆誠・若頭代行が、新団体「任侠団体山口組」の結成を表明。自らは代表、神戸山口組若頭補佐だった池田幸治・四代目真鍋組組長を本部長に据えたうえで、記者会見を行った。

会見など前代未聞だが、そこで語られたのは、①金銭の過酷な吸い上げ②井上組長の出身団体である山健組の身贔屓③井上組長が進言諫言を聞かないこと、という井上体制批判であった。

衝撃的だったのは、この三つが、いずれも2年前、神戸山口組が六代目山口組から分離独立する際、理由としてあげているものだったことだ。

当代の司忍六代目の出身母体は名古屋の弘道会。「弘道会方式」と呼ばれる統治は、情報と金銭と行動の厳しい管理統制で知られているが、上納金は85万円に跳ね上がり、弘道会に対する身贔屓と「上意下達」の組織運営に我慢ならない勢力が、神戸山口組を結成した。

「井上組長も同じじゃないか」という批判が渦巻くなか、神戸山口組は「泥仕合は避けたい」(組幹部)と、沈黙を守った。だが、神戸山口組総数の3分の1、30団体が移籍。当初は混乱したものの、分裂から50日が経ち、落ち着き始めたということで、幹部が語り始めた。