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地銀大再編時代に銀行が活かすべき「本当の強み」

今のままでは未来がないから

6月の初め、金融庁が、メガバンクに導入予定であった「債券保有規制」を2019年3月から地方銀行以下の銀行にも導入することを決めた。保有する国債や外債の金利変動リスクを自己資本の20%以内にしなければならないというもの。これは、国際決済銀行(BIS)の新基準であるが、金融関係者の間では、「いよいよ」という緊張感が走っている。

この基準導入をきっかけに、噂されていた地方銀行の大再編が本格的に始まるという見通しが高まっている。四国の地銀の1行に集約するレベルともいわれている。

実際、最近「銀行業」というビジネスは苦境に陥っている。構造不況業種と言っても過言ではない。つまり、当局が動き出そうが出すまいが、今後、大変動は必至となっている。一体、何が起きようとしているのか。(ここでは、銀行とは、メガバンク3つ含む都市銀行〈都銀〉、106行〈上場グループでは82〉ある地方銀行〈地銀〉、400以上ある信用金庫〈信金〉と信用組合〈信組〉を指す)。

 

「預金を集めて貸出す」はもう成り立たない

銀行の収益の基本は、預金者から預かった預金を貸出すことによって得られる収益である。いうまでもなく、これは預金者に支払う金利などのコストより借り手から払われる金利収入の方が高いことになって成り立つ。わかりやすく言えば、貸出金利と預金金利の差が利益となる。それが逆であれば、いわゆる逆ザヤである。

筆者が都銀に入った1987年には、バブル経済下ということもあり、貸出が預金額を上回っていた。いわゆるオーバーローンの状態であった。そのため預金集めも重要な業務であった。

ところが現在は、その逆で、そもそも預金が余っている。近年、日本経済、特に産業が活力を失っていき、貸出が伸びてない。足元では、銀行預金のうち貸出に回るのには、預金全体で約7割しかない。その残った約3割の資金は国債と外債を中心とした証券で運用している。その証券運用は、近年、銀行の収益の柱になっていた。

しかし、現在、預貸の部分では逆ザヤの状態になっている銀行も結構あるといわれているだけでなく、証券運用も同様に利益を生まないものになっているのだ。

銀行の証券運用は日本国債を中心としておこなわれている。しかし、昨年、2016年1月に日本銀行が当座預金に「マイナス金利」政策を導入したところ、国債までもマイナス金利に沈み込み、銀行の証券運用の収益もマイナスとなり全体的な収益も赤字となった。さらに、マイナス金利の導入により、日銀の予想に反して貸出金額すらも縮小した。このような状況下、日本の銀行株は暴落し、世界株価全体の下落を先導した。

それに対応し、日本銀行は昨年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、長期金利の指標となる10年物国債利回りを0%近辺に誘導した。イールドカーブ(期間を横軸にとったグラフ上の金利曲線)は上がり、銀行の国債投資では20年物を中心に購入するので、証券運用の部分はかろうじて収益が得られるようになった。