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大企業の粉飾を「不適切会計」と言い換える、日経新聞の恥知らず

これは、新聞の「終わりのはじまり」だ

東芝と何ら変わらない

富士フイルムホールディングスは6月12日、75%を出資する傘下の富士ゼロックスで発覚した会計不正によって、過去6年間の累計で375億円の利益がかさ上げされていたことを明らかにした。富士ゼロックスの山本忠人会長を解任したほか、役員を大幅に刷新、富士フイルムの古森重隆会長が富士ゼロックス会長を兼務する人事を公表した。

2015年に明らかになった東芝の粉飾決算を彷彿とさせる内容だが、東芝同様、会社は徹底して「不適切会計」という言葉を使っている。「不正会計」や「粉飾決算」ではない、と言いたいのだろう。

 

だが、同日富士フイルムホールディングスが公表した「第三者委員会報告書」には、驚くべきことが書かれていた。

2017年7月、海外子会社で売り上げを過大計上する不正会計を行っていることを指摘する告発メールが富士ゼロックスの副社長らに届いた。副社長らは調査して、そうした実態があることを把握するが、それを知りながら問題の先送りを指示するなど、「不正会計の隠蔽指示」を行ったと明確に書かれている。

そもそも、子会社で売り上げの水増しが起きたのは、「売上至上主義の社風」や売り上げを達成した場合に与えられるコミッションやボーナスといった「インセンティブの仕組み」によって、不正会計が横行していたと分析している。まさに、東芝の「チャレンジ」と似た構造ということだろう。粉飾は特定の個人の犯罪というよりも、組織ぐるみで起きたと指摘しているのだ。

こうした経営幹部が関与した会計処理は、言い逃れができない「会計不正」だろう。結果的に連結決算を見て株式を売買する投資家を欺いたことになり、粉飾決算のそしりを免れない。会社はその重大性が分かっているからこそ、代表権のある会長と副社長、取締役専務、常務執行役員らを退任させる「荒療治」を行ったのだろう。

日経も違法性は明らかに認識しているのに

日本経済新聞も、見出しには「上層部が隠蔽」と書いている。ところが、あくまで使っている言葉は「不適切会計」なのである。

東芝問題の際も日本経済新聞は「不適切会計」という会社の用語を使い続けた。メディアの間からは、どうみても意図的な利益水増しだったという声が強まり、「不正会計」「粉飾決算」という用語を使うところも出た。2015年末に金融庁が東芝を処分した際は、「有価証券虚偽記載」と断定された。つまり「粉飾決算」だと当局も認定したのだが、それでも日経は「粉飾」という言葉を使うことに躊躇した。
 
今回も、富士フイルムが使う「不適切会計」をそのまま見出しに取っている。しかもご丁寧に「きょうのことば」という用語解説欄で「不適切会計」とは何かを解説している。引用してみよう。

「……有価証券報告書など決算書類に事実と異なる数値を載せること。単純な事務処理ミスからルールに反した会計処理を意図的に使う場合も含まれる」

一般の人からすると驚きだろう。日経が作った定義では、単純ミスも意図的なルール違反も、同じ「不適切会計」と呼ぶというのだ。しかも用語解説の後段には、海外でM&A(合併・買収)した企業が、減損処理などで巨額の赤字を計上した例を記載している。さすがに「不適切会計とは言えないが」とわざわざ断っているが、意図的な不正と、ビジネスの判断によって行った投資の結果をない交ぜにして解説しているのだ。