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企業・経営

ローソン社長が語る「いざというときの決断の作法」

小さな煉瓦の店が現在では2兆円超

ローソン1号店が大阪府豊中市にオープンしたのは'75年のこと。この時、お店は煉瓦造りで、おもな商品は輸入雑貨やチーズ・生ハムなどのパーティフードだったという。当時、少々時代を先取りしすぎていた店は、なぜいま売上高2兆円を超えるまでに成長したのか。三菱商事出身で、表情豊かな熱血漢・竹増貞信社長(47歳)に話を聞いた。

ローソンの竹増貞信社長

0.25歩くらいの先取り感

【成長の理由】

現在のローソンは「マチの健康ステーション」です。いま売れているのは「ブランシリーズ」のパン。原料に米やオーツ麦などの外皮を使っているため糖質量を抑えられ、食物繊維も豊富です。サラダの品数も以前の2倍近くに増やし、野菜がおいしく飲める「グリーンスムージー」も販売しています。

また「夕方に来たくなる店」も目指しており、手軽に食卓を彩れるお総菜や揚げ物、冷凍食品を充実させています。これらはすべて「マチ」の変化をヒントに考えた施策です。人口の変化や、皆さんの関心事、誰とごはんを食べるのか……そんな変化に気付き、半歩、一歩先だと早すぎるから0・25歩くらい先を進み変化へ対応しているのです。

【PDCA】

社長就任以来、意識しているのは「衆知の結集」です。新入社員からも役員からも「この方が効率的」「街ではこんなことが起きている」と様々な声を聞き、仮説を立て、実行し、結果を検証してよりよい店・組織にしていくのです。

そのためには社長の私が「コンビニ業界のことを何も知らない」と考え、社内で何度でも「意見を聞かせてください」と言い続けるしかありません。また聞く態度も重要です。

私を含め、上司は聞いている途中で反論してはいけないし、もし意見を採用しないなら、部下が納得するまで理由を説明しなければ、次の意見は出てきません。そして、こんな我々の日常が「いい店」をつくるのだと信じています。

 

【勝負!】

大阪で生まれ、小中学生の頃はサッカー、高校からはラグビー、大学ではゴルフと、スポーツに熱中して育ちました。就職活動では「仕事は一番長い勝負。強いチームで戦ってみたい」と考え、様々な業界のトップ企業ばかり受けました。なかでも三菱商事に魅力を感じたのは、自分の力を試せると思ったからです。

【最強チーム】

入社後、畜産部で牛肉のチームに配属されると、翌年には、チームは大きな損失を抱え解体してしまいました。ところが、当時のメンバーは「もう一度やれば必ずナンバーワンになれる」と固く信じていました。

まず目標を定め、実現のため必要な業務以外はすべてやめました。輸入代行業務で細々と利益を出していたのですが、これも「英語さえ話せれば誰でもできる仕事じゃないか!」と他社に譲ってしまった。

直属の上司は「ヒマなら本でも読んで教養を高めておけ」と笑っていましたが、きっと社内の幹部からの風当たりは強かったでしょう。しかしこれこそが「選択と集中」だったのです。

市場環境等、情報を収集し終え「これをやろう!」と決めたら、取引のない企業の代表電話に連絡する勢いでゼロからお客様を開拓しました。すると3~4年後に「このビジョンは実現する」と実感でき、次第に実感が確信に変わり、10年後には本当に、業界トップになったんです。

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