残業をせずに成果を上げる、上司の仕事の秘訣

残業に追われ、ノー残業デーにも仕事を持ち帰る人、そして同窓会に遅れてくる人には共通して欠けている点が2つあります。①「仕事を早く終えるという明確なゴール設定」、②「ゴールを達成するために必要な生産性を上げる工夫」です。この2つが欠けているために「有害人物」となってしまっているのです。

そもそも、同窓会に遅刻したあげく、残業をさもすごいことのように吹聴する人は、①が欠如しています。「残業をしない」「遅刻をしない」というゴールそのものを持っていないのです。仮に「残業をしない」「遅刻をしない」と公言していても口先だけで、本心からそう思っているわけではありません。このようなタイプは生産性を上げる前に、まずゴール設定をすべきでしょう。ゴール設定がすでにできている人は、その達成にしっかりとコミットしていきましょう。

「遅刻はしない」「残業を減らす」という明確なゴールがあるにもかかわらず、それを達成できていない人には①はありますが、②が欠けている状態です。生産性を上げる工夫を積み重ね、それを磨き上げることに注力しましょう。

20代の私は①と②の欠けた、明確なゴール設定も生産性を上げる工夫もしていない人間でした。一方、私の上司は①も②も両立していた存在でした。上司はまず、「残業をしない」というゴールがはっきりしていました。新婚当初だったこともあり、とくに家族との時間を確保する強い決意があったように思います。

残業しなくとも成果を出せるという自信、長時間労働が常態化した職場環境を自らが率先して変えてみせるというひそかなリーダーシップもあったかもしれません。いずれにせよ、その上司はゴールが明確でした。

また上司は時間管理が徹底していました。朝一から迷うことなく仕事に集中できていました。新しい仕事が入るとその作業工程を早めにイメージし、必要な時間を確保しておきます。そして時間になったら、予定していた仕事に集中するのです。

そうして高い生産性を維持していました。上司の集中する姿には目を見張るものがあり、いまでも私の中に鮮烈な印象として残っています。

ゴールを明確に設定し、必要な時間をスケジュールにブロックし、一瞬一瞬に全力で集中する。残業を減らすにはこうしたあたりまえのように思える「仕事の基本」を地道に実践することが大切です。仕事の基本を実践しているのは私のかつての上司だけではありません。じつは世界のさまざまな分野の第一線で活躍する「一流人」も、こうした仕事の基本を地道に積み重ね、徹底して実行することで偉大な成果をあげているのです。

たとえば誰もが知っているジャマイカの短距離走選手、ウサイン・ボルト氏はこんなことを言っています。「Dreams are free. Goals have a cost.(夢は無料。ただし目標にはコストがかかる。)」

ボルト氏は「白昼夢を見るにはコストがかからない。しかし、目標は対価を伴う。時間、努力、犠牲、そして汗。あなたはどうやって目標への対価を払うか?」と続けています。「夢」は漠然としたもの、実現できなくても後悔することは少ないものです。一方で「目標」には実現へのプレッシャーがともなうイメージがあります。目標達成にはしっかりとしたコミットが求められ、そこにはコストが発生します。

「同窓会? 行けたら行くよ」「残業しなくて済めば出席できるよ」という「できたら論」は、ボルトのいう「夢」に近いのではないでしょうか。これを「目標」にするためには、「必ず同窓会に出席する」「絶対に残業を持ち帰らない」というゴール設定が必要です。そしてゴールを達成するためのコストを覚悟し、生産性を向上させる努力を惜しまないことです。