Photo by GettyImages
イギリス EU

激震!イギリス総選挙〜メイ首相が陥った“カジノ民主主義”の罠

EU離脱交渉は混迷に逆戻り…

メイ首相の"オウンゴール"

「政治の世界では1週間は長い時間である」(ハロルド・ウィルソン英首相)

イギリスのテリーザ・メイ首相は今、悔やみきれない思いでこの政治的教訓を噛みしめていることだろう。

選挙キャンペーン開始時に地滑り的勝利が予想されながらも、8日に投開票された総選挙の結果は、保守党が過半数にも届かないという劇的な展開だった。

欧州連合(EU)との離脱交渉開始が迫る中、イギリスの政治そのものが「一寸先は闇」となってしまったのだから、事態は五里霧中というしかない。

再び「イギリス・ショック」である。そして、イギリス発の「サプライズ」はまだ続きそうな雲行きになってしまった。

総選挙を振り返り、イギリスの政治、EU離脱交渉の行方を探ってみたい。

 

* * *

選挙を一言で総括するなら、メイ首相の“オウンゴール”だった。

EUからの強硬離脱(ハード・ブレグジット)を掲げるメイ首相がギャンブルに打って出て、自らの「驕り」と「失策」により、有権者から手痛いしっぺ返しを受けたということである。

メイ首相への抗議デモ、6月9日ロンドンメイ首相への抗議デモ、6月9日ロンドン〔PHOTO〕gettyimages

まずは総選挙の経緯を簡単に押さえたい。

メイ首相は4月18日、それまでの姿勢を一転させ、突然、解散総選挙の実施を表明した。

首相は前倒し総選挙の理由として、「議会の分断」を挙げ、「離脱を成功に導ける強い政権を作るためにやむを得ず決断した」と説明した。

この頃、メイ首相は有頂天だったはずだ。世論調査では最大野党・労働党に20ポイント以上の大差をつけていた。その支持を背景に、欧州問題をめぐり分裂しがちな保守党は一応の結束を保っていた。

しかし、その選挙の結末は▽保守党318(前回2015年選挙比-13)▽労働党262(同+30)▽自由民主党12(+4)▽スコットランド民族党35(同-21)、という思いもしない結果だった。

どの政党も過半数(326)に届かないハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)である。

この結果を受け、野党各党だけでなく保守党内からも首相(党首)辞任を求める声が出る中、メイ首相は北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP、獲得議席10)の協力を得て、政権継続を目指しているというのが、この原稿を書いている10日時点の現状だ。

それでは保守党の敗因は何だったのか。