アメリカ

トランプ危機は、日本も「政権交代の可能性」を考えておくべきレベル

大統領には反論の余地もあるが…

トランプ米大統領から解任されたコミー前FBI長官が6月8日、ロシアゲート疑惑について「大統領から捜査中止を要請された」と認める声明を発表した。トランプ政権は重大局面を乗り越えられるだろうか。

ロシアゲートでは複数の疑惑が指摘されているが、なかでも焦点になっているのがFBIに対する捜査妨害だ。

大統領は2月13日、ロシアとの不適切な関係が指摘されたマイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)を解任した。大統領は翌14日、コミー長官(当時)と会った際、補佐官に対する捜査を中止するよう要請した、と報じられてきた。

コミー氏は6月8日に上院情報特別委員会の公聴会で証言する予定だが、それに先立って証言内容の概要を書面で委員会に提出し、委員会が7日、書面を公表した(https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/os-jcomey-060817.pdf)。

声明によると、コミー氏は大統領と会った直後、側近と問題を討議するとともに大統領との会話内容をメモに残していた。それによれば、大統領は「あなたが彼(フリン氏)を手放すことができるように望んでいる。彼はいい奴だ」と言った。

 

コミー氏は大統領の要請に対して、ただ一言「彼はいい奴です」と返答した。さらにコミー氏は大統領との会談後、セッションズ司法長官に会って「大統領と自分が二度と2人きりにならないように」求めたという。

FBI長官は司法長官の管轄下にある。書面によれば、コミー氏はそんなFBI長官が司法長官を差し置いて、大統領と2人きりになるのは不適切と考えたという。

これらは5月以来、ニューヨーク・タイムズはじめ米マスコミが報じてきた内容を、ほぼ完全に裏付けた形だ。今回の声明では、加えてコミー氏が「大統領が自分に捜査中止を求めていると理解した」という自分の認識もあきらかにしている。

大統領府と捜査を含む司法、議会の三権分立は米国民主主義の根幹である。大統領とFBI前長官の会話が声明の通りだったとすれば、大統領による司法と捜査に対する介入あるいは妨害と受け止められても仕方がない。

ただ、大統領には反論する余地もある。会話は大統領執務室での1対1のやりとりだった。物証はコミー氏が作成した会談メモしかない。大統領が「メモと声明の内容は正確ではない」と主張すれば、両者の水掛け論に陥ってしまう。