メディア・マスコミ

「親・安倍」記者への告発が、単なる準強姦の問題では終わらない理由

一強時代の「もうひとつの歪み」

「救済の対価」、だったのか

「(記者会見後)被害者なのにバッシングを受け、辛い思いもしましたが、レイプ被害を防ぎたい、法改正にも取り組んでもらいたいという私の思いは変わりません」

フリージャーナリストの詩織さん(28)が、5月29日、記者会見を開いて10日が経過した。一時は、心労から体調を崩していたということだが、「会見だけでは伝わらないものがある」ということで、私の取材に応じてくれた。詩織さんには、自ら性被害者として直面した法律や警察、そして病院対応などの不合理なシステムを社会に広く訴えたいという思いがあった。

聡明で繊細ながら芯は強く、なにより正義感に溢れている。今回、表面化した疑惑の解明は、詩織さんが申し立てを行った検察審査会と、「起訴相当」などの結果を受けた際の検察捜査、並びに私を含むメディアの役割である。

経過を振り返ってみよう。

 

「レイプという行為は私を内側から殺しました。レイプは魂の殺人です」――。

詩織さんの会見での訴えは、二重の意味で衝撃だった。

第一に、姓は伏せたものの、実名顔出しの告発だったこと。無責任で心ない批判など、二次被害も想定されるレイプ事件で、記者会見を開くのは前代未聞といっていい。

第二に、レイプをしたとされるのが、「安倍晋三首相に最も近いジャーナリスト」といわれる山口敬之氏(51)であったこと。政権への食い込みは、尋常ではない実力の“証”だが、不逮捕不起訴の処分は、検察・警察の山口氏に対する忖度を疑えた。

衝撃は収まらず、報道も取材も続いている。もし、不逮捕という警察の決定と、不起訴という検察の判断に「安倍政権の影」があれば、森友学園、加計学園といった国会を揺るがす「安倍1強の歪み」と同じ構図となり、安倍政権はさらに揺らぐ。

もしそうなると、山口氏がテレビの報道番組で行ってきた「政権の代弁」は、「救済の対価」だった、とも読めてしまう。

メディア関係者だけでなく視聴者も、4月だけで4局8番組47回のテレビ出演をこなした山口氏が、政権擁護のコメンテーターであることに気付いている。「対価」なら、山口氏のコメント群は、正確さも公平性も失った底の浅いものとなり、結果的に視聴者=国民を裏切ったことになる。