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「待機時間」にスマホをポチりまくる、夜の女の「新たな買い物依存」

オンナの収支報告書【23】

鈴木涼美さんが独自の夜人脈を駆使してオンナのお金の稼ぎ方・使い方を取材考察する本連載。今回は無店舗化した風俗から「解放」されたある風俗嬢の時間とおカネの使い方に肉薄します。

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風俗から失われた「場」

2000年代の開業ブームを経て、一気に風俗業界の圧倒的シェアを誇る存在となった無店舗型風俗店、いわゆるデリヘル・ホテヘルは、できては潰れる競争の厳しい状況ではあるものの、女性からは依然として最も気軽に働ける風俗店として人気を誇る。

店舗の多さ(ソープや箱ヘルのそれぞれ10倍近い規模)に加えて、一部繁華街に集中的にある店舗型風俗店に比べて各地のマンションやビル内に事務所を構えるため、物理的に気軽であることは間違いない。

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多くのデリヘル店は、ソープランドなどで実施されているような大掛かりな研修などが用意されておらず、非本番型であるために性病検査も任意なことが多い。また、部屋数や営業時間など物理的な制限がないため、店舗型風俗店に比べて圧倒的に出勤の自由度が高い。

電話やメール1本で出勤・欠勤の連絡ができる場合が多く、週に何日以上など出勤日数の規定がないため、暇な週末だけ、長期休みの時だけ、子供が預けられた時だけ、お金が必要になった時だけ、といった不定期の勤務が可能で、登録だけして実際はほとんど出勤していないという女性も相当数いる。

この出勤の自由度は夜・昼問わず他の職種ではなかなか望めないもので、これを何よりのメリットと考える女性も少なくない。

また、店舗が多いゆえに価格帯も大変幅広く、超格安で回転のいい店から、回転率は悪いが1本の手取りが超高額の店もあり、非本番であるにもかかわらず高額な価格設定の店ではソープランドよりも手取りが多い場合もある。

もちろんすべての店のすべてのキャストが稼げているわけではないどころか、高級店・大衆店問わず、安定して賑わっているのはごく一部の流行店であり、他は客の入りの波があまりに不安定で、「3日連続お茶(稼ぎゼロ)」ということを聞くのも珍しくない。

 

何れにしても専業・兼業を問わず、多くのキャストを抱えるデリヘル店だが、この業態が主流となったことで、風俗から確実に失われつつあるものが「場」である。歓楽街にある風俗店の1室であっても、都心のラグジュアリーホテルの客室であっても、サービスの内容に大きな差はないが、場所は全然違う。

また、働く場所が規定されないことに加え、店側が用意する待機場所だけでなく自宅待機や車待機、喫茶店や漫画喫茶での待機など、接客中以外の女性の居場所も多様であり、デリヘルは無形と言える。

歓楽街に入り雑居ビルに入り風俗店に入るというプロセスがなくなった。女性は風俗嬢しか入らないプレイルームに入ることがなくなった。毎日同じ場所に通うこともなくなり、接客の合間にキャスト同士で話したり、隣のプレイルームから聞こえてくる同僚の喘ぎ声を聞いたりすることもない。

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その代わりに彼女たちがいる「場」は、車の中や道路やラブホテル、マンション、シティホテルなど、普通に生活している人が当たり前にいる場所になった。

女性同士の関わりがなくなって気楽になったという人もいれば、寂しくなったという人もいる。小汚い雑居ビルの風俗店には興味がないが、ラグジュアリーホテルをハシゴする高級デリヘルの仕事は好きという人もいる。待機場所が自宅になったことで時間を有効活用できるようになったという人もいるし、仕事中という意識がなくなった人もいる。

そして、そのごく一般的な場所で、仕事の合間に浪費を続ける人もいる。

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