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米中逆転が現実に!? 世界はついに中国を中心に回りはじめる

新たな国際秩序は〈中+欧vs.米〉

パリ協定をめぐる二つの立場

先週6月1日、はからずも同日に、二つの象徴的なスピーチが行なわれた。

一つは、米ホワイトハウスの中庭で行なわれたトランプ大統領の「パリ協定」からの離脱に関する声明発表だ。

パリ協定は、京都議定書に続く地球温暖化防止の枠組みである。2020年から2030年までの各国の目標を定め、2015年12月に195ヵ国が署名した。

潘基文国連事務総長(当時)のもと、パリ協定を主導したのは、世界第2位の温室効果ガス排出国である先進国代表のアメリカ(オバマ政権)と、世界第1位の排出国である新興国代表の中国だった。パリ協定は昨年11月に発効したが、トランプ大統領は今回、ちゃぶ台をひっくり返したのである。

 

普段は長いスピーチを好まないトランプ大統領だが、この日はいつになく気合が入っていたようで、30分近くにわたって自論をまくし立てた。そのエッセンスは以下のようなものだ。

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「アメリカとアメリカ国民を守る責務を果たすため、パリ協定から離脱することを、ここに宣言する。

パリ協定は、アメリカにとって不利な合意に、アメリカ政府が加わってしまった典型例の一つだった。他の国々が得をして、我が愛すべき労働者が、それらのコストを負担させられているのだ。その結果、アメリカ人は職を失い、賃金が下がり、工場は閉鎖に追い込まれている。

パリ協定を守れば、アメリカで2025年までに最大270万人の職が失われるという試算も出た。だからこんなものは受け入れられない。

パリ協定はアメリカ経済にマイナスの影響を与えるばかりか、汚染に加担する国々を規制していない。中国はこの先も、温室効果ガスの排出を増やし続けることができるし、インドも石炭の生産を倍増できるような仕組みなのだ。

アメリカはいつから威厳を失ったのか? いつから笑い者にされる存在となったのか? 私が大統領になったのは、パリ市民ではなく、ピッツバーグ市民から支持を受けたからだ。今こそパリ協定から離脱し、アメリカを再び偉大な国にする」

もう一つのスピーチは、ベルリンを訪問した中国の李克強首相が、メルケル首相との9回目の首脳会談の後、共同記者会見で述べたものだ。

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「中国は、ドイツが議長国となって7月に開催するG20(主要国・地域)サミットを、全面的に支持する。またその場では、貿易の自由化と投資の簡素化を、世界に向けて積極的にアピールしていく。

中国政府は、パリ協定の妥結に向けて前向きに参画した。国連に対して国別の地球温暖化ガス削減案を、最初に提出したのは中国だった。

中国は『言必信、行必果』(発言には信頼が伴い、行為には結果が伴う)ということわざを順守していく。つまりパリ協定は、必ず守っていく。かつ世界の国々にも、このような国際提携を強化していくことを希望する」

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