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これでいいのか「報道特集」!加計問題であまりに偏っていたその「中身」

出演者にも確認してみたところ…

ミスリードだらけだ

加計学園の問題が、いまだ収まらない。

本コラムを通じて、加計学園問題の本質は既に何度も書いている。先週のこのコラムでは、前川前事務次官があの記者会見で致命的な誤りを犯したことを指摘した(5月29日「前川・前事務次官の記者会見は、官僚目線で見れば「大失敗」だった 致命的なミスがそこかしこに…」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51868)。

つまり、閣議決定の挙証責任(今回の場合、獣医学部の新設について、獣医師の需要見通しを出すことなどが閣議決定されたが、需要見通しをどこが行うかという責任)は文科省側にあるにもかかわらず、それがないかのように話したこと(あるいは誤解していること)、獣医学部の需要見通しについて、自分たちの力では需要見通しが出せなかったため、内閣府に役所間の交渉で負けたに過ぎない、ということだ。

前川氏は、文科省のあの文書に「総理の意向」が書かれていたというが、獣医学部創設の是非は事務方による交渉結果なので、「総理の意向」なんてそもそもありもしないとも指摘した。このコラムは幸いなことに、マスコミ関係者を含め、多くの人に読んでもらった聞いている。

 

その中で「この加計学園問題は、マスコミの能力をチェックできる、いいリトマス紙になる。ダメなマスコミは、今回の加計学園問題が、新規参入を阻止出来なかった文科省の悪あがきであるという本質を見抜けず、『総理の意向』があったのかどうかが重要だ、と読み間違うだろう」と書いたが、早速ダメなマスコミがでてきたので、今回のコラムはそれを取り上げよう。

それは、6月3日(土)に放送されたTBSテレビ「報道特集」だ。この件に関して、同番組は「報道」と名乗る資格があるのか、と疑ってしまうほど資料の読解力不足が目立ち、さらに取材で裏をとらずに前川氏の意見を垂れ流すことに終始していたように見えた。

この回の番組の売りは、「加計学園問題~前川前次官単独インタビュー」となっていた。番組はいつもの通り、安倍首相が加計学園理事長と「お友達」であることを強調するところから始まる。これは、今の報道の定番である。そして、前川氏が登場し、「行政がゆがめられた」と証言する。

同番組は関係者にもインタビューしていたが、安倍首相と加計学園理事長の関係は知らなかったと発言していた。竹中平蔵・国家戦略特別区域諮問会議議員も登場していたが、彼は、プロジェクト案件は、閣議決定の客観的な条件について国家戦略特区法に基づき進められてきており、総理の個人的な関係や意向は全くないという。議事録もすべて公開している、とも発言していた。

そこで番組は「特区諮問会議の議事録には、加計学園が条件をみたすという記述はない」といい、逆に、加計学園が認められる直前の2016年9月16日の議事録では、文科省が「具体的な需要は明確となっておりません」と指摘していたことを取り上げるなど、文科省と農水省が最後まで新設に慎重であったことが記録されている、とナレーションで語られた。

6月3日放送「報道特集」より

そして、その1ヶ月半後、「突然」獣医学部の設置が決まった、と番組では強調していた。また、同じく獣医学部の新設を申請していた京都産業大学が、加計学園とは違って漏れてしまったこともおかしいとしている。

おそらく、何の予備知識ももたない人がこの番組を見れば、前川氏のいうとおり「行政がゆがめられた」と思うだろう。これが、マスコミの「印象操作」の怖いところである。

先に言っておくと、この番組の中でも前川氏はちょっと信じがたいことを口にしていた。2016年9月と10月に、和泉・首相補佐官から「(新設のための手続きを)急いでくれ」と言われたことを、文科大臣に報告しなかったといった。これは、公務員の行為としては失格である。この点は、報道を掲げるならもっと突っ込むべきところであったが、番組は甘くスルーしている。

この方は、はっきりいえば古いタイプの国家公務員である。「我こそは国を導く者」という思い上がった人で、大臣のことなんかは無視して仕事をするタイプだと思う。筆者は彼と同年代で、元官僚であるのでしばしば実感するが、この年代の国家公務員には結構多いタイプなのだ。

一見、国士のような言動であるが、はっきりいえば、選挙で選ばれたわけでもないのに、思い上がってしまっている。責任はとれないくせに、権限ばかりをほしがる、かつての「よき時代の公務員」タイプである。そもそも事務次官のランクは、文科省では、大臣・副大臣・政務官の次のナンバー4にすぎない。それなのに、自分がトップと思い込んでいるのだろう。

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