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キャリア官僚の「ブラック労働」ホントのところはどうなのか?

単なる「忙しいアピール」か…

採用率3.3%の狭き門

キャリア官僚を志望する人が少なくなっている。人事院によると、'17年度の国家公務員総合職試験の申込者数は、前年度比6%減で2万591人となった。これは'70年度以来、47年ぶりの低水準だ。

志望者の減少が進んだのは、中央官庁は「長時間労働」「過酷な労働環境」というイメージが主に学生のあいだで広がっているからだといわれている。とはいえ、昔からキャリア官僚といえば「憧れの職業」のひとつに挙げられることも少なくない。実際のところどうなのか。

まず、国家公務員総合職試験はどのようなフローで進んでいくのかを見ていこう。総合職試験には2次試験まであり、それが通れば「合格」だが、合格したからといって即「採用」というわけではない。合格者は各省を訪問し、そこで面接を受けて採用される。

このプロセスはなかなか狭き門である。'16年度でいえば、申込者2万1883人に対して2次試験合格者は2011人。ここから面接でさらに絞られ、最終的な採用者は729人。採用率は3.3%ということになる。

 

3.3%という数値から、まだまだ官僚は根強い人気を持つ職業であることがわかる。ちなみに、国家公務員試験は景気の好不調によって申込者が変動する。この理由のひとつとして、受験料が無料であることがよくいわれる。

公務員試験はほとんど「記念受験」のような申し込みも少なくない。もし景気が上向きで、民間の就職の調子がよければ、冷やかしのつもりで公務員試験を受ける人が減るだけだ。

若手にはありえないうま味

とはいえ、キャリア官僚はたしかに昔ほど「美味しい」仕事ではなくなりつつある。昔ほど好待遇な「天下り」は徐々に得られなくなってきているからだ。ただ、40年先に享受できるうまみはなくなってきても、入ってから5~10年間は、いまだに民間企業ではありえないほどの好待遇が待っている。

希望さえすればほとんど海外留学が可能で、大きなプロジェクトも若いうちに経験できる。野心のある若者にとって、国家公務員という職業はひとつのキャリアステップとして魅力的である。また、'17年度の総合職試験では、女性の志望者の割合が35.1%と、女性からの人気も高まっている。

キャリア官僚が長時間労働を強いられるのは、国会議員から質問通告が出るのを「待機」しなければならず、その後「答弁作成」に追われるからだとする声が多い。だが、筆者はそれを額面どおりに受け取るべきではないと考えている。

というのも、実際に「答弁作成」をしているのは関係部署だけであり、すべてのキャリア官僚が関わっているわけでない。その国会答弁も、過去のものを再利用している場合がほとんどだ。また「国会待機」のときも、連絡のつく場所にいれば、役所で残業する必要はない。

実際のところ、「働き方改革」を推進している霞が関がいまだに「不夜城」と化しているのは変わらない。ただ同時に、ほとんど業務をしていない官僚もいるので、国家公務員という職業を「ブラック」と捉えるのは大げさなところがある。おそらく、一部の官僚の「忙しいアピール」が大きい。どの組織にも、忙しい、きついとやたら言いたがる人がいるものだ。

週刊現代」2017年6月10日号より