〔PHOTO〕iStock
企業・経営 経済・財政

「金融機関を通じた投資教育は明らかに筋が悪い」件について

正しい情報を伝えないかもしれない

金融庁の巧みな情報発信

5月29日(月)に、霞ヶ関の金融庁の会議室で、投資のブログを書いている個人投資家をはじめとする、一般投資家を集めた意見交換会が行われた。

主な出席者は、投資のブログを書いているブロガーたちであったが、その他にもファイナンシャル・プランナーや金融に関する専門家などが出席して質疑は活発だった。

この種の意見交換会を金融庁が開くのは2回目だ。今回は、意見交換会終了後に、会議室のテーブルを並べ替えて、ドリンクとつまみを運び込んで、参加者からはおおよその実費(2千円であった)を徴収する懇親会もあった。運営に当たった金融庁の若い職員たちには大変だったろうが、参加者には好評だったと思う。

ブロガーたちは、後刻、会議の模様をブログに書いてくれるわけであり、また金融庁も、資料を配り、これをブログにアップしても良いと許可するなど、彼らの情報発信に対して好意的であった。

 

金融庁としては、意見聴取と同時に、情報の発信もできる訳であり、なかなか巧みな戦略だ。

主なテーマは「積立NISA」及び「投資教育」であった。

短期間に3種類が揃うことになるNISAはいささか制度が複雑であり、本家の年間120万円まで投資枠があるNISAの恒久化がまだ決まっていないなど、心配な面はあるが、今回の積立NISAに関しては「長期投資」、「積立投資」、「分散投資」を普及しようとする現在の金融庁の執念を感じる。

積立NISAでは、金融庁が対象商品を大きく絞り込む方針であることが注目されているが、この点に関しては、出席者の反応は概ね好評であったように思う。

ちなみに、筆者は、良いアクティブ・ファンドを選ぶ方法を金融庁自身が呈示できない以上(将来的にも難しいと思うが)、「投資家に受け入れられているから」というロジックでアクティブ・ファンドを積立NISAの対象にすることには反対だ。

昨年来、金融庁は、「いわゆる売れ筋のファンドが投資家にとっていいファンドになっていないこと」を正しくも問題にしていることと整合性がない。当初のスタートは、手数料の安いファンド(ほとんどがインデックス・ファンド)だけが対象である方が、筋が通っている。

一方、投資環境が変わっても、同じファンドを20年間持ち続けなければ税制優遇の効果を最大限に活用できない現行の制度案は、投資環境の変化に対して余りに硬直的だ。ノーロード(販売手数料ゼロ)のファンドに限って、スイッチング(投資対象商品の入れ替え)を認めてもいいのではないだろうか。

一方、参加者からの質疑の中には、積立NISAが、金融機関にとって収益性のあるものになりそうにないため、果たして普及するのかを疑問視する声もあった。これはこれで、考えてみなければならない問題の一つではある。金融庁は、金融機関の採算性をどのように試算しているのだろうか。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金。管轄は厚労省)とNISA(管轄は金融庁)の両方と一般の課税口座での運用を一括して管理できる仕組みを提供して欲しいという、投資家としては当然だが、官庁には実現のハードルが高い(複数省庁にまたがるため)要望もあった。

なお、これは、民間会社がシステムを提供できそうなサービスだが、顧客の側には、「これだけの総合的な個人情報をシステム屋さんに提供して心配ではありませんか?」と申し上げておこう。