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キレイごとでは済まされない!「がんサバイバー」を抱える会社の問題

「働かなくていい」は許しがたい暴言だが…

会社にとって社員は「守るべき存在」ではあるが、いざ社員が病気になったとき、家族のように寄り添うことは、もちろんできない。会社が小さければ小さいほど事情は深刻だ。実態をレポートする。

企業の新しい課題

5月15日に開かれた自民党の厚生労働部会。テーマは受動喫煙防止策だった。三原じゅん子参院議員が「患者は店や仕事を選べない。弱い立場の人のことをぜひ知ってほしい」と述べたのに対して、ヤジが飛んだ。

「(がん患者は)働かなければいいんだよ」

声の主は大西英男衆院議員。これまでも「(政府に批判的なマスコミを)懲らしめなければいけない」「巫女のくせになんだ」といった暴言失言が取りざたされた問題議員だ。下村博文幹事長代行に厳重注意され、東京都連の副会長を辞任することになった。

現代の日本ではがん患者のうち、およそ3分の1が20歳~65歳、つまり現役世代でがんになる。

昨年12月には改正がん対策基本法が成立し、がんになっても治療と仕事を両立できるよう、企業に努力義務が課されたところ。誠に配慮のない、許されない発言である。

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だが大西議員を批判すれば済む話かといえば、それもまた違う。「がんと仕事」には、キレイごとでは片づけられない、複雑で深刻な問題が横たわっている。

がんになってもそれを克服し、会社に残って働き続ける人が増えてきている。それは医療の進歩の証でもあるし、がんサバイバーが働きやすい環境が整えられるのは素晴しいことだ。

しかし、社員ががんになったとき、企業が強いられる負担もますます大きくなっていることも事実である。産業医で下村労働衛生コンサルタント事務所代表の下村洋一氏が解説する。

「がんが不治の病ではなくなり、復職可能なケースが多くなっていることで、社員の治療と仕事を両立させるという、企業にとって新しい課題が生まれました。

がんは基本的に労災としては認められにくい病気です。実は、会社にとって社員の健康管理のメインになるのはうつ病や心臓疾患、脳卒中など労災として認められやすい病気なのです。

企業側の論理からすれば、がん患者の就労支援はあくまで福利厚生的な側面が強いため、後回しにされがちな傾向があります」

 

社員ががんになったからといって、それを理由に解雇することは法的に認められない。もちろん治療が必要な時期は働かせてはいけないし、復職後も治療が必要ならば休みを取らせることになる。