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孫正義のアニマルスピリットは日本経済の救世主となるか

世界が注目する「10兆円ファンド」

世界の金融市場関係者の間でソフトバンクの“10兆円ファンド”に対する関心が高まっている。その背景の一つに、孫正義氏が、長期の目線で「人工知能(AI)」という新しい技術の可能性に注目していることがある。

元々、ソフトバンクは投資によって成長を遂げてきた企業だ。買収した米通信大手スプリントの業績改善が遅れてきたことなどを受けて、同社の買収戦略の動向や財務悪化を懸念する投資家はいる。しかし、これまで孫氏が手掛けてきた投資案件のいくつかは、大きな収益をもたらしたことは間違いない。

基本的にリスクを取らずして更なるビジネスの成長は望めない。10兆円ファンドの設定は、まさに孫氏の“アニマルスピリット”を体現したものといえるだろう。

情報大革命

10兆円ファンド(正式にはソフトバンク・ビジョン・ファンド)の設定には、孫氏のアニマルスピリットが大きく影響している。

かねてから、同氏は人工知能がわたしたちの知能を超えること(シンギュラリティ)の可能性に言及してきた。言い換えれば、これは、人工知能の進歩で社会が加速度的に変化することを意味する。

一般的に、人工知能に対しては賛否両論がある。わが国での議論を見ていても、今以上にロボットなどが用いられるようになると、人々の仕事がなくなってしまうとの懸念は少なくないようだ。それでも、機械に任せられることは機械に任せた方がよい部分は多い。なぜなら、そうすることで労働力が不足する分野に人手を回すことが可能になるからだ。人手不足は、今、わが国で実際に生じている問題である。

 

シンギュラリティの概念は、こうした議論よりもはるかに広大だ。たとえば、わたしたちの認知を人工知能に捕捉させることが可能になるなど、現時点では空想の域を出ないのではないか、と思われるようなことも含まれている。まさにSF映画さながらの展開が、一部の企業や研究者の間では真剣に議論されている。

これが正に“イノベーション”だ。人工知能はいまだ発展途上にある分野であり、倫理的な側面など議論されるべき点は多い。それでも、新しいコンセプトが実用化されることで、これまでにはなかった需要が創出され、経済の成長は後押しされるだろう。それは、基本的にはよいことであるはずだ。ソフトバンクはそうした動きを取り込む準備を進めている。

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