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医療・健康・食

「がん検診もワクチンも、全ては医者のカネ儲けの手段である」

あのベストセラーから5年。近藤誠の警告

「がん検診で早期発見が大事だと思ってる方、それは錯覚・誤解です」「ワクチンも不要です。例えばインフルエンザのワクチンはまったく必要ない」

そう語るのは2014年に慶應義塾大学医学部を定年退職し、現在は「近藤誠がん研究所」と「セカンドオピニオン外来」を運営する近藤誠氏だ。

氏の著書『医者に殺されない47の心得』の発売から5年。110万部を超すベストセラーとなっている一方、日本の医療現場はいまだに患者をないがしろにする「お金儲けの場」になっていると語る。その物言いから慶應大学病院内では村八分にあった経験もあったという近藤誠氏に現在の医療現場への思いを伺った――。

取材・構成/平原悟

医療がビジネスになっている

――『医者に殺されない47の心得』(アスコム)は刊行から5年で110万部を突破しました。これだけ多くの人に読まれた理由はどこにあると思いますか?

「なんで売れたのか? それは僕にもよくわかりません。今までの本と違うのは、ごくやさしく書いたということでしょうか。

それまでは一般向けと言いながら、専門家が読んでも文句が付かない書き方をしていた。根拠を示すために出典である論文がずらっと並んで、じつはかなり難しい。

それでも『患者よ、がんと闘うな』(文春文庫)なんか50万部ほど売れたわけで、読者には感謝しています。それで伝えたいことは一通り書いたという気持ちもあって、これからはわかりやすい本にしようと考えたんです。

広い医療分野をカバーした点も本書の特徴です。がん、高血圧、高脂血症、糖尿病、健診、人間ドック、食事や日常の健康法など、問題点を挙げて分析し、ラクに安全に長生きするためにはどうすればいいかを示しました。そこが読者に受けたのかもしれませんね」

近藤誠氏

――医師の本の多くはそれぞれの専門分野の本が中心。それ以外の分野について言及することには慎重な人が多いと思いますが、抵抗はなかったですか。

「僕は大学では放射線科でがん治療をしていたけど、患者たちの主治医であったから、本人の生活習慣病、娘の子宮頸がんワクチンや親のボケのことなど、さまざまなテーマについても相談を受けてきました。そういう質問に、専門じゃないからよそで訊いてくださいと言うのが、しゃくだった。

幸か不幸か1988年に『乳ガンは切らずに治る』という問題論文を発表して以降、病院内では村八分状態で暇になったから、いろいろな分野の最先端論文を読み、患者さんからの質問に即答できるようにしていました。そうした現場での経験や勉強の成果としての基礎知識が備わっていたから、決して不安はなかったです」

 

――なるほど。でも、逆に言えばなぜ今回はがん以外の分野についても書こうと思ったのですか?

「それは程度の差こそあれ、問題の構造が同じだからです。人間ドックや職場健診でがんが見つかって、手術や抗がん剤治療を受ける人が多いわけですが、結果的に命を縮めている。高血圧、高脂血症、糖尿病なども、健診で数値が高いと言われて不必要なクスリを飲まされて命を縮めている。

精神病も単に人間関係で悩んで病院に行くと『あなた鬱傾向がありますね』と診断されクスリを出される。それを飲み続けていくと、やがてクスリの副作用で本格的な鬱になり、最後は『双極性障害です』『統合失調症ですね』となってしまう。

こうした現代医療の欠陥は、医療がビジネスになったことに原因があるというのが僕の持論です。ビジネスと考えれば、患者というユーザーを増やし、手術やクスリという商品を消費してもらうことを目指すのは当然ですから。商売をするのは自由ですが、それによって患者さんが命を縮めることは見過ごせないじゃないですか」