医療・健康・食

シリコンバレーで自閉症が急増中!? いったい何が起きているのか 

覆される「固定観念」
スティーブ・シルバーマン

アスペルガーの予言

この問いへの回答を見つけるために、本書『自閉症の世界』を執筆した次第である。

近年、脳多様性(ニューロダイバーシティ:neurodiversity)という概念が流布しつつある。自閉症、読み書き障害、注意欠陥/多動性障害(ADHD)のような状態は、技術と文化の発展に貢献するそれぞれ固有の強みを持つ、自然に起こる認知的多様性とみなされるべきだという理解である。

自閉症が単一の障害ではなく、集合体であることについては今日、大半の研究者が確信するにいたっている。

症状は発達の諸段階でいろいろなかたちで現れる。1938年にアスペルガーが予見したとおり、障害児のニーズに適切に応えるには、親や教育者や地域をまきこんだ、包括的なサポートが生涯にわたり必要である。

先見の明があった彼はまた、自閉症が「まったくもって稀なこと」ではないと主張した。事実、現在の推定発症率を考えると、自閉症者は世界最大の脳科学的マイノリティ集団とみなすことができるだろう。アメリカでは、自閉症者数はおおむねユダヤ人とおなじくらいである。

DNAの分析から近年になって研究者は、自閉症の症例の大半が、特定の家系により集中してみられるものの、一般の人々に広く共有された古い遺伝子に起因するものであることを明らかにした。自閉症が何であれ、現代文明に特有の産物ではないのだ。

脳多様性の提唱者たちは、社会が自閉症を自然界のミスとみなすのではなく、人類の遺伝的遺産の重要な一部としてとらえるべきであると提案している。

自閉症の原因を突き止めるために年間何百万ドルも投資するのではなく、自閉症者やその家族の生活が、もっと幸せで健康で充実した不安のないものにするための支援に予算を向けるべきだと主張している。

こうした取り組みは、やっとはじまったばかりである。