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企業・経営 週刊現代 日本

大幅賃上げを進めるJALの「面の皮」

税金を返せ、とは言わないが…

あの時の悲愴がウソのよう

カネ余りで使い道に困っている―。成長戦略を描けず、閉塞感に満ちた日本の産業界にあって、日本航空(JAL)だけは景気がいい。

会社更生法の適用を申請した'10年1月、負債総額2兆3000億円という途方もない倒産となったのがウソのようだ。

JALは公的資金の投入や銀行団の借金棒引き、赤字路線の整理など、倒産処理における数々の〝特別待遇〟のおかげで、ほぼ毎年のようにJAL史上最高の利益を更新してきた。

奇跡のV字回復と持て囃されたJALは、昨年度の営業利益が1703億円。数年前までは、ライバルの全日空(ANA)に年間1000億円近く水を開けてきた。

その一方で、いくら儲けても法人税を免除され、免除額は来年までの9年間で実に4300億円に上る。

 

むろん面白くないのがANAで、あまりの特別待遇に「市場競争を歪めている」と猛反発。勢いに押された国土交通省がこの間、JALの新規事業投資を認めず、ドル箱の羽田空港路線の発着枠配分を制限してきた。

しかし、'12年8月10日に航空局が出したその「8.10ペーパー」通達も、さる3月末で有効期限が切れた。

で、JALはこれから倒産企業としての手かせ足かせが外れ、自由に経営できる、とばかりにますます意気軒昂なのだ。

この4月28日には、社長の植木義晴が国交省で中期経営計画を発表。「世界のJALに変わります」「一歩先を行く価値を創ります」「常に成長し続けます」と経営の3本柱をぶち上げた。

そこには、安全と高品質なサービスの提供、強固な財務体質の保持、社会への貢献といった美辞麗句が並ぶ。

ところが、である。では、いったいどう事業展開するのか、となると、具体策がない。事業の目玉は、新たな予約システムに800億円を投じたり、ビジネスクラスシートをフルフラット化するくらいだろうか。

つまり、大儲けしたそのカネで新規事業に乗り出したくてもできない。そんなチグハグな状況が生まれているのだ。