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企業・経営

連結売上1兆2000億!三井化学はこうして「V字回復」を達成した

淡輪敏社長に聞いた

連結売上高約1兆2000億円、世界的化学メーカー・三井化学を取材した。近年、事業構造改革を進め、製品群の高付加価値化に注力。高品質な自動車の外・内装部材の原料をグローバルに供給するほか、食の安心・安全や環境負荷低減に寄与する高性能な農薬や優れた食品包装材を開発するなど、日本の各産業のイノベーションを支えている。過去最高益を達成した淡輪敏社長(65歳)に話を聞いた。

三井化学の淡輪敏社長

まずは相手を理解すること

【刷新】

世の中のニーズと化学の力が合致すれば、想像もしなかったものを創り出せる……それが化学メーカーに勤める者の愉しみです。

たとえば当社は、眼鏡の薄型レンズに使われる光の屈折率が高いプラスチックを製造してきました。その流れで最近は、紫外線が強いとレンズが黒みを帯び、弱まると透明になる「室内外兼用レンズ」の開発に成功しています。

また、オープンイノベーション(他の機関との連携によるイノベーション)により、医療分野にも進出しました。いま、富山大学とともに敗血症の新たな検査システムを創ろうとしているのです。がん治療など高度な手術では、感染症が起きやすく、重篤になって敗血症に陥る場合があります。

敗血症は100種以上の原因菌があるため特定に数日かかり、この間の致死率が非常に高い。しかし新たな検査システムが実用化されれば、3時間で原因菌を特定でき、より多くの命が救えます。

【報いよ】

営業部で駆け出しの頃、先輩から「情報という言葉は、情けに報いると書くんだよ」と聞きました。これは至言で、我々が顧客企業に報いるには、型どおりに素材を納入するだけでは足りません。

仮に自動車部品に使う樹脂であれば、軽さはもちろん耐衝撃性、加工しやすさ、耐熱性など、用途によって様々な性能を求められます。だから、先方の考えや要望を聞き、当社の研究開発部門に伝え、先方に最適な提案をする必要があるのです。報いようとして相手を理解する―その結果、生まれるものが「情報」なのでしょう。

 
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