政治政策 政局

加計学園問題・前川前事務次官はなぜ安倍政権に「歯向かった」のか

事務方トップの反乱が意味するもの

犯人捜し

永田町に激震が走った。

文部科学省の事務方トップだった前川喜平前事務次官が、『週刊文春』(17年6月1日号)の取材に応じて、安倍晋三首相の意を受けた内閣府官僚らの圧力に負けて、首相の「腹心の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部新設を許し、しかもその過程を綴った内部文書が「本物」であると認めたのだ。

問題となったのは、5月17日、『朝日新聞』が「新学部『総理の意向』」と、大見出しを掲げ、1面トップで報じた獣医学部新設に絡む記録文書。昨年9~10月に文科省と内閣府のやりとりなどをまとめたA4版で8枚の文書である。

朝日は、これをもとに記事を作成、民進党は国会でこの問題を取り上げたのだが、菅義偉官房長官は、「名前も日時も記載されていない怪文書のようなもの」と、切り捨てた。

すると朝日は、翌18日、日時と氏名が記載された文書を、そのまま掲載。そこには、「平成30年4月の開学を大前提にして欲しい」と、内閣府の官僚が文科省の窓口に伝えたうえで、「官邸の最高レベルが言っていること」と、プレッシャーをかけている様子が記されていた。

前川氏は、この文書の存在も認めたうえで、「総理のご意向かどうかは確認のしようはありませんが、ここまで強い言葉はこれまで見たことがなかった」と、語っている。

 

プレッシャーをかけたのは内閣府の藤原豊審議官。「経産省からの出向者で、とにかく官邸の意向を大切にする人。国家戦略特区有識者議員で、特区選定の実力者である竹中平蔵・東洋大教授に可愛がられている」(内閣府関係者)という。

前川氏は、一連の文書が文科省のものであることは認めたものの、流出させたのが誰であるかに言及したわけではない。だが、菅官房長官はオフ懇の場で、「(流出させたのは)元最高責任者」と語っており、文科省内部でも「総理の威を借りて獣医学部新設をゴリ押しする内閣府と、特区という例外規定を突破口に、新設を図る官邸のやり方に批判的なOBが流したもの」と、目されていた。

では、そのOBは誰か。その際、本人かどうかはともかく、官邸に対してケンカを売るだけの度胸を持ち、事実、近年、官邸とぶつかることが多かった前川氏とそのチームではないか、というのは菅氏だけでなく霞ヶ関の了解事項だった。

前川喜平とは何者か――。

私は、審議官時代に自ら就職先あっせんの口利きしていたことが発覚して、今年1月に退任した前川氏の「華麗なる経歴と人柄」について、本サイトで配信(2月9日)したことがある。

祖父は前川製作所の創業者で妹は中曽根弘文元文相に嫁いでおり、本人も与謝野馨氏が文相時代に秘書官を務めており、経歴は事務次官コースを辿るに相応しかった。

一方で、小泉純一郎政権の「三位一体改革」に噛み付き、自らの名をもじった「奇兵隊、前へ!」と題するブログで政府方針に歯向かうなど型破り。そんな主張を通すところが、今回、「犯人説」が流れたゆえんだろう。また官邸とは、今回の加計学園騒動の前に新国立競技場建設をめぐって、ギクシャクしていた経緯もある。

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