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「痴漢」と叫ばれ、線路に逃走して命を落とした男の悲劇…

これは、他人事ではない事件だ

「この人、痴漢です!」。まったく身に覚えがないのに電車内でいきなり咎められるリスクを、男性なら誰もが抱えている。だが、そこで線路に逃げるという選択は決して自分のためにならない――。

彼は本当にやったのか

「俺じゃない!」

男性の必死の叫び声がプラットホームに響いた。そして、彼は線路に飛び降りて走り出した。15mほど走り、悲劇は起こる。

「ワー!」「キャー!」

悲鳴が一斉に上がり、それと同時に下りホームへ進入してきた電車の警笛とブレーキ音のキィーという音が、けたたましく鳴り響いた。

上り線ホームの車両も運行を停止し、駅構内は一気に騒然とした雰囲気に包まれた――。

5月15日午後8時20分頃、神奈川県横浜市青葉区の東急田園都市線青葉台駅で、34歳の男性が電車に轢かれて死亡した。

 

これは痴漢を疑われた挙げ句の悲劇だった。帰宅時間で混みあう車内。ドア付近に立っていた30代女性は、

「腰の右後ろ辺りに触られたようなゴソゴソした違和感があった」と、振り返ったところ、後ろに立っていた男性がこうつぶやいた。

「すいません」

この一言で痴漢行為をされたと確信した女性は、この男性を周囲の男性客とともに取り押さえて、青葉台駅で降りた。

女性はすぐさまホーム上に設置されたインターホンを押し、「ちょっと来てください」と駅員を呼んだ。

目撃者が語る。

「1番線のホーム中ほどに10人ほどの人だかりができていました。女性と男性客が数人、駅員が2人、それを取り囲むように野次馬が何人かいましたね。

痴漢を疑われた男性はスーツ姿ではありませんが、グレーのブルゾンに斜めがけのカバンを肩から下げていた。ごくごく普通の男の人という感じ。神妙な様子で駅員と話していました」

駅員が男性にこう話しかけ、状況は一変する。

「駅員室のほうでお話を聞きますので、行きませんか」

すると男性は「俺じゃない!」と叫び、駅員の制止を振り切って、線路に飛び降りたのだ。青葉台駅にはホームドアは設置されていなかった。そこに、後発の電車が駅に入ってきて……。