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中国の「フィンテック」が日本のはるか先を行くのは当然だった

取引額も投資額も約30倍!

金融革新は新興国から始まった

新興国や開発途上国で、電子マネーが急速に普及している。タクシーや街中の商店の決済が、スマートフォンで簡単にできてしまうというという報道をよく見かける。こうしたものを見ていると、日本がだいぶ遅れていると感じる。

そのことは、日本銀行の調査でも裏付けられる。日銀が今年2月に発表した資料『BIS決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴』によれば、日本人の現金の利用率(GDPに対する現金流通残高の比率)は、19.4%であり、他国に比べて突出して高い。キャッシュレスが最も進んだスウエーデンでは1.7%でしかないのと比べると、11倍にもなる。

なぜこうなっているのだろうか? 1つの理由は、「カード決済のウエイトが大きいほど、支払手段として持ち歩く現金は少なくなる」という関係が存在することだ。日本では、カード決済のウエイトが低いのである。

しかし、それだけではない。南アフリカなどでも現金の利用率が低いが、これは電子マネーが普及しているからだ。この面でも、日本は遅れている。

東南アジアにおいても、スマートフォンを使う決済サービスの広がりで、大きな変革が生じようとしている。2021年の東南アジアでのスマートフォン決済額は3兆円強に達し、13年に比べ10倍に膨らむとの予測もある。銀行口座やクレジットカードでは遅れていた新興国が一気にキャッシュレス社会に前進するのだ(『 日本経済新聞』2017年5月17日電子版)。

このままでは、20年のオリンピックで外国から日本に来た観光客が、日本の決済環境に不満を抱く。こうした危機感を持った政府は、「『日本再興戦略』改訂2014」に、キャッシュレス社会の推進を盛り込んだ。しかし、状況は目立っては変化していない。

開発途上国における電子マネーの広がりは、数年前にアフリカのケニアで起こった。

ケニアの銀行システムは未発達であり、都市を離れるとまったく支店がない。このため地方に住む人々は、銀行の支店に行くのに丸1日もかけるという状況だった。

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ところが、「エムペサ(mPesa)」という電子マネーが登場し、携帯電話さえ持っていれば、送金もできるし、地方部にもある簡単な交換所で現実の通貨に替えることもできるようになった。この「通貨改革」は、ケニアの経済を基本から変えた。

いま、それと同じことが、全世界の新興国や開発途上国で起こっているのだ。