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なめている!東芝幹部 この期に及んで「それでもウチは潰れない」

「なんとかなるだろう」が蔓延…?

一度ならず二度までも、「監査を受けない」業績を発表した東芝。ところが、経営陣は完全に開き直り、目前に迫るリスクにも、「最悪の事態にはならない」と目をつぶる。驕った名門の内情に迫る。

また損失額が増えた

5月15日、東芝本社39階の会議室で開かれた会見は、「前代未聞の事態」が交錯する舞台となっていた。

午後2時、100人超の記者が詰めかけた会場に現れた綱川智社長は、

「('16年度)通期業績の数値は、期末から45日を経過することも考慮した上、情報開示の観点から重要であると判断し、本日公表させていただくことといたしました」
と頭を下げた。

そう、この日の会見は、あくまで'16年度の業績の「見通し」を伝えるもの。正式な決算を発表する際に必要な監査法人の「意見表明」を受けていない、その場しのぎの業績発表に過ぎなかった。出席者のひとりが言う。

「会見前の段階で、監査法人の意見表明を得られていないことはわかっていましたが、それでも会場にはどよめきが広がりました。監査法人のPwCあらたが東芝の業績に『お墨付き』を与えなかったのは、第3四半期の業績に続いて2回目ですから。

何度も『新たな損失』を重ねる東芝に煮え湯を飲まされてきた監査法人は、『もはや東芝の決算に対してまったく責任を持てない』と表明したということ。東芝は『監査法人不在』のまま自暴自棄のように突っ走っているのです」

こうして異常な状況下で発表された「数字」も、尋常ではない。'16年度の当期純損益が9500億円の赤字。株主資本は5400億円の赤字、つまり、同額の債務超過となるという。9500億円の純損益は、製造業では過去最大の損失である。

 

この数字を受けて綱川社長は、「このように、大きな当期純損失を計上する見通しとなったことを重く受け止め、早期に財務基盤立て直しを図ってまいります」と、謝罪。しかし、表面的には殊勝さ、誠実さをアピールしているものの、この会見で東芝経営幹部たちが実際に「やっていたこと」は、誠実さとはかけ離れていた。

前出の出席者が言う。

「東芝の混乱の原因は、粉飾決算やウエスチングハウス(WH)の赤字の隠蔽。だからこれまでも記者やアナリストは、しつこく『WH破綻後のリスクの規模がこれ以上膨らむことはないのか』と質問し、東芝も『それはない』と説明してきました。

ところが、3月29日の段階で約8250億円と説明されていたWHの破綻処理による貸し倒れ引当金が、今回の会見では約9800億円であると発表されたのです。わずかこれだけの短い期間で、1550億円も増えたんです。こんなのあり得ない」

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他人事のような経営陣

何度も何度も損失額の上乗せを続けてきた前科がある東芝だが、ことここに至っても、損失が「上方修正」されるというめちゃくちゃぶりだ。

経済ジャーナリストの磯山友幸氏が言う。

「東芝の態度は、もはや『開き直り』と言ってもいい。監査法人の意見表明を受けない異常事態についても、『自分たちなら許される』『どうせうちのような大企業を上場廃止にはできないだろう』『ましてや潰すことなんかできない』という『甘えと驕り』をこの会見には感じました。

東証の自主規制法人の理事たちには、『自分たちが東芝の上場廃止の引き金を引きたくない』という雰囲気がある。それを察知してか、東芝の今回の会見でも、上場廃止になるかもしれないという緊張感は見られなかった。

市場をなめているようにしか見えないし、もう上場企業の体をなしているとは言えません」