しかし、北中も指摘しているように、プロトタイプがあることで、個々人の事情、数値化できない側面などが切り落とされてしまい、かえって「ストーリー」に乗っていない部分、乗れない人たちが病を予防したり回復したりすることから疎外することにもなる懸念もある。

私がまた別のカテゴリー化をすることで再びそこから零れ落ちてしまう人たちがいるのも承知だが、メンタルヘルスの悪化の要因として、主に女性たちに、「ダブルスタンダードを求められる苦しみ」という言語化の武器を1つ提供できたらと思う。

今、苦しんでいる人には、全力で言いたい。そこで頑張らなくていい。嫌だと言っていい。逃げてもいい。私の聞き取りの範囲でも、客観的にかなり危ない状態になりながら、「医者に行ったらまた馬鹿にされる」などと医者に行っていないケースもあった。

「いやいや、会社休めるわけないし」「死ぬわけないじゃん」と思っているあなたも、どうか危険な状態までいきませんように。そこから何とか脱せられますように。

企業に問いたい組織風土

総合職女子に対する矛盾した、そして直接仕事と関係のないいくつもの期待、そしてその1つである美しさで勝負できないようであれば、「いじられ」に徹しないといけない構造。聞き取りをしていると、誰もが社名を聞いたことがあり、当然女性活躍推進法の対象(従業員300人以上)で、女性活躍やダイバーシティを掲げているような企業の社員からも、悲鳴が上がっている。

厚生労働省はパワハラについての法規制を検討していると報じられているが、そもそも「ダイバーシティ推進」は属性に関わらず個々人を尊重することにその基本的な理念と意義がある。若手やマイノリティー等、誰かを傷つけることが必要悪かのように存在する風土で、会社の足元は大丈夫か。

そういった組織風土では、女性活躍をいくら進めようとも離職率はおそらく下がらないし、女性管理職を生まない。おそらく男性のメンタルヘルスも確実に多く、明らかに組織として生産性が低い。

「セクハラだ」「上司が悪い」「男が悪い」と単純化はできない。組織への同化と個の尊重がされないカルチャーに、セクシャルな要件や世代による規範が加わり、こうした問題が起こっているように感じる。

そしてやはり多様性がないと、マイノリティーはとやかく言われやすいという面もある。働き方改革、残業削減も大いに結構。ただ企業にはこんな観点でも、女性活躍やダイバーシティを今一度見直してみてほしい。