どうしてこれまで言語化されなかったのか

『モラル・ハラスメント』著者のマリー=フランス・イルゴイエンヌは、『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』(2003)の中で「モラル・ハラスメント」という言葉が広がることによって「自分がこれまで職場でどのようなひどい目にあってきたか、声をあげて訴えることができるようになった」と述べている。

私自身の前著『「育休世代」のジレンマ』も出産後の総合職女性の苦しみを取り上げているが、言語化することでその苦しさの正体がわかれば、解決の一歩につながり得る。今回の「コイツには何言ってもいい系女子」についても、その状態が苦しいと感じながら、うまく言葉にできなかった人は多かったようだ。

自ら飛び込んで行ってしまうこと、自身の態度によりハラスメントがさらに助長されてしまうことにより、苦しさを感じていても訴えにくい。「コイツには何言ってもいい系女子」が適切なネーミングだったかは微妙ではあるが、だから、よくある話なのにも関わらず、記事にしたときの反響が大きかったのではないか。

@matsuko318 まつりさんの事件から何となく言いたくても言葉にできなかった事がここで「お前は俺か?」的に書かれている。ありがとうございます。貴方の周りにもいると思いますよ。多分。

‏ @tyubooon018 ここ最近ずっと抱えていたもやもやを的確に言語化してくれた気がして嬉しかった、 だけど涙が止まらなかった。 私はこうなろうとして、無理をして、 愛想と笑顔を振りまいて、心を壊しかけている。 こんな社会はとても苦しい。

反響が大きかったので、その後エピソードをアンケート形式で募り、その中からスカイプ等で経験談の聞き取りをはじめた。そこで改めて感じたのは、文字通り「切り刻んでいる」(あるいは、切り刻まれている)、つまり、こうした「いじり」が深刻なメンタルヘルスの悪化につながっているケースがあるということだ。