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格差・貧困 ライフ

「払ったら負け」絶対に財布を持ち歩かない女の優れたイメージ戦略

オンナの収支報告書【21】

鈴木涼美さんが独自の人脈を駆使して「オンナのおカネの使い方・稼ぎ方」について取材考察する好評連載、待望の配信です! 今回は、職業読者モデルだか何だかよくわからないけど西麻布界隈を根城にし、自分では絶対におカネを払わないで遊び暮らす女の子のお話しです。

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キャバ嬢って貧乏くさい

「なんかサァ、キャバ嬢って貧乏くさくない?」

というのは中谷さんという女の子が、歌舞伎町のキャバクラの体験入店に行った帰りに呟いた一言である。当時キャバ嬢だった私に、しかも店を休んで彼女の体入に付き合った私に、悪気なくビンボーくさいとか言うタイプの華奢な女の子だ。私はとある飲み会で知り合った彼女に会うのは、その時が2回目であった。

彼女は私の中学の後輩なのだという。私は小中高一貫の女子校を中学で辞めて共学の私立に鞍替えしたのでその学校には3年間しかいなかったのだが、2歳年下で中学校から入学してきた彼女は私のことを一応認識していたらしい。

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彼女は高校を出た後は短大に進み、人材派遣会社に就職してから横浜の自宅から都内に引っ越していた。

人材派遣会社のOLが特別嫌だったわけでもないらしいが、1年も経たずに退職し、フリーターに近い形でレストランのエスコートの仕事やキャンペーンスタッフなどをしながら、西麻布に新しくオープンしたラウンジにも登録したということだった。

「私お金かかる女なんですって顔でどっかいやしいと言うか必死と言うか。なんかあのライターを下から差し出すのが、抵抗ある。1人の客がタバコくわえた時に同じタイミングで2人が我先に!って出したのがウケた」

必死にお金がかかる女を演じるのが仕事なんだからしょうがないでしょ、と思いながら私は聞いていた。ホステスなんてある意味、外見なりテクニックなり所作なりで、お金がかかりそうな高飛車で高級な女のパロディをしている商品なのであってそのパロディっぷりを指摘されてもそりゃそうだとしか言えなくて困る。

 

現代の中高生にはそう見えているようだが、別にキャバクラ嬢は高級な存在ではない。

高級そうに見えなくてはいけないが、1人の女を口説き落とすことに比べれば、その女と付き合ってデートや旅行や記念日にお金をかけることに比べれば、そして結婚式とか挙げることに比べれば、さらに一生食わすことに比べれば激安である。

少なくとも労力はゼロなわけで、まぁナンパして口説いてご飯に連れていく自分の労力にお金を払っていると思えば10万なんて安いものだ。

当たり前だが、高飛車そうに見えるのも大体は虚勢、あるいはキャラクター、もしくは勘違い素人嬢であって、本来的には下手に出て男性をちやほやおだて、気分良く財布を開いてもらうのが仕事なんであってそれをビンボー臭いと表現するかは人それぞれだが、必死な労働者であることには違いない。

素敵そうに見せている様を素敵なのだと鵜呑みにして崇拝する中高生に比べれば、中谷さんの感覚のが正しいっちゃ正しい。で、別にそれはそれとしてその道を楽しむのも自由、そんなビンボーくさくて嘘臭いメッキの世界を一蹴するのもこれまた自由である。

とにかく、当時から、中谷さんの主義主張、平たく言えば目指すスタイルというのは一貫していたのだ。男をちやほやしなきゃいけない立場じゃなくて、ちやほやしてもらう! そして奢ってもらう! と。

「この間、ミッドタウン住んでる人との合コン行ってその後もその人が行ってるクラブとかみんなで行って、そこにいる女の人とか見てて、ラウンジよりこっちのが楽しいって思って。そっち目指すよ」

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