ライフ 雑誌

平均年齢70歳のワークグループにみる「ひとが集まる」仕組みの秘密

世田谷区『せめてしゅういち』の働き方
おとなスタイル編集部

「何もない自分」というのは思い込み

代を超えたつながりがあるのも、ここのおもしろいところ。

2016年から地域の小学生を対象とした放課後預かりサービスをカフェで開始。隣のデイケア施設に集まる子供や若者たちも加わり、『せめて……』のおじさん・おばさんたちが、ワイワイ賑やかに触れ合う様子は、まるでひとつの大家族のようにも見える。

「ケータリングの注文が増えて、カフェのキッチン設備を新しくしたいけど、お金がなくて困っていたら、若者に“クラウドファンディングはどう?”と教えられ、試してみたらなんと、166万円以上も集まりました。若い人から学ぶこともたくさんありますね」と清子さんはいう。

また、吉村順子さん(60代)は現役の大学教授だが、すでにメンバーとして参加。

「私は清子さんに“出版部を作って”とお願いしました。以前から森田さんのワークショップを記録していて、書くことは好きだし、臨床心理学が専門なので話を聞くのも得意です。

ここで出会う、人生の様々な経験を経てきた人たちの話を小説にしてみたい……。山渕さんと一緒に、お金に関する本を出すことも考えています」

働くことの“お金を稼ぐ”という意味は大きいけれど、それ以上に“楽しみ”や“やりがい”がこんなに大きな自信や生きがいにつながるとは……!

『せめてしゅういち』出版部では、すでに数冊短編小説集を出版。吉村さんはこの出版部をもっと育てていきたいという。

「私自身、このプロジェクトを始めて、自分には何もないと思っている人も必ず“何か”を持っていることを知りました。

自分には普通でも、ほかの人には大きな価値がある。そのことに気づくとみな、驚くほど自由になる。あとは踏み出す少しの勇気さえあれば十分」と清子さんは笑顔で話す。

キャリアや特技があってもなくても、人は自由になれる。働き始めた20代のワクワクを60代、70代でも感じることができるのだ。さぁ、私たちだって、先輩方に負けてはいられない……!

 

『おとなスタイル』2017年夏号より


(※1)東京しごと財団
東京都の公益財団法人。働く意欲を持つ都民のために、その人のキャリアや能力を生かした雇用や就業を支援してくれる。また、東京のものづくり振興のために人材を育てる活動など地域社会に役立つ働き方をサポート。高齢者世代への支援にも力を入れている。

(※2)高齢者職域開拓モデル事業
*1の東京しごと財団と東京都が連携して、働きたいシニア世代をサポート。シニア世代が中心になって活躍できる場を広げるために、企業・NPO団体等が新事業立ち上げや既存業務拡大などの際に、立ち上げ資金の援助やアドバイスなど、幅広く支援してくれる。

※『楽ちん堂カフェ』は現在、デリバリーなどで不在になることもあるため、お食事などでの利用は事前予約制。http://lalala-45 raku.sub.jp/cafe/