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行政・自治体

「震度7に60回耐える」機能は、住宅に本当に必要なのか

住宅メーカーの生き残り戦略を分析する

住宅メーカー「二つの戦略」

空き家の増加が止まらない。『住宅・土地統計調査』(総務省統計局)によると、総住宅数が総世帯数を大きく上回り、2013年度で空き家は820万戸、13.5%に達している。

人口減少が始まり、世帯数の減少も目前に迫っている。そのため図表1にあるように、年間の新設住宅着工戸数は右肩下がりのトレンドにあり、16年度には年間90万戸台を維持しているものの、野村総合研究所では20年度には79万戸に、そして30年度には54万戸まで減少すると予測している。

矢印のトレンドの先、30年度には50万戸台まで縮小するとしているわけだ。

そんな市場の先細りが避けられないなか、売上げを増やしていくために、住宅メーカーはふたつの戦略で対応しようとしている。

そのひとつが、1棟単価の引上げによって売上げの減少をカバーする方法で、もうひとつが価格の引下げで販売棟数を増やす方法だ。前者は主に大手住宅メーカーが採用し、後者は主に中堅ビルダーが採用している。

大手の注文住宅は4000万円時代に

大手住宅メーカーは、大手ならではの技術力を活かして、最新技術を搭載した住まいの販売に力を注ぎ、その結果、平均価格が大幅に上昇している。たとえば、積水ハウスの決算資料によると、1棟当たりの平均単価は11年度には3311万円だったのが、16年度には3729万円に上がっている。5年間で12.6%の上昇になる。

大和ハウス工業も14年度の3270万円が16年度には3430万円に上がり、2年で4.9%の上昇。さらに三井ホームでも、12年度には3480万円だったものが、16年度は4000万円ちょうどになっている。こちらは、4年間で14.9%のアップだ。いずれにしても、数年で1割程度の価格上昇だ。

積水ハウスや大和ハウス工業は3000万円台半ばから後半だが、大手でも平均単価が高いといわれる三井ホームや住友林業、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)などでは、1棟4000万円の時代に突入しつつあるといわれている。

 

それだけ上がっても、いまのところはお客がついてきてくれているのはなぜか。社会的な関心が高い耐震性能と省エネ性能の向上を前面に打ち出しているため、ある程度ユーザーの納得度を得られているからだろう。

図表2は、住宅金融支援機構が「住宅ローンを利用して住宅の取得を考えている人」を対象に行った調査だが、住宅選びにおいて、耐震性を重視する人のうち半数強は「コストアップしても、耐震性能を高めたい」としている。そのコストアップの許容範囲は、8割が10%までとしているが、一部は2割以上のコストアップもOKとしている。

この調査では、省エネ性能についても同様の質問をしているが、58.1%の人が、「コストアップしても断熱性能を高めたい(次世代省エネ基準の適用など)」と回答している。

耐震性能や省エネ性能を高めれば、価格が高くなるのは仕方ない――そんな考え方がユーザーのなかに定着しつつあるといっていいのかもしれない。