防衛・安全保障

アメリカの「ぼったくり兵器」の押し売りに、ノーと言えない防衛省

価格が突然2倍に釣り上げられ…
半田 滋 プロフィール

とんでもなく不自由

「なぜ生活費の負担までするのか」との防衛省側の問いに米側は「彼らは米国での生活を捨てて日本のために働くのだ」と「さも当然」と言わんばかりの回答だったという。

価格高騰したり、米人の生活費まで負担したりするのは、日本政府が米政府から直接、購入するFMS(対外有償軍事援助)という米国独特の売買方式が関係している。

FMSは米国の武器輸出管理法に基づき、①契約価格、納期は見積もりであり、米政府はこれらに拘束されない、②代金は前払い、③米政府は自国の国益により一方的に契約解除できる、という不公平な条件を受け入れる国にのみ武器を提供する。

売り手と買い手の双方が納得して契約する一般的な商売と異なり、購入する側に著しく不利な内容だが、高性能の武器が欲しい国は甘んじてFMS方式を受け入れる。世界一の武器輸出大国でもある米国は160カ国以上とFMS契約を結んでおり、日本も例外ではない。

グローバルホークは防衛省に渡された後も主要な維持管理を米側が担うため、日本側が滞空型無人機の製造技術や整備技術を習得したくても自由に触れることさえ許されない。安倍晋三政権のもと「防衛装備移転三原則」の名目で武器輸出を解禁し、米国のライバルとなる可能性が出てきたことも、不利な条件を飲まされる一因とみられる。

配備先が三沢基地に決まったのは、米軍がグローバルホーク4機を配備するグアムが台風に見舞われる7月から12月初旬まで機体の避難先として三沢基地を選んだことによる。

 

日米のグローバルホークが集中すれば、なにかと便利、という米側の理屈だが、本州最北にある三沢基地は降雪の心配があり、防衛省は冬場だけ自衛隊版グローバルホークを那覇基地へ避難させることも検討する。

日本のカネで購入しながら、不自由な運用を余儀なくされる運命のグローバルホーク。それでも日本防衛に不可欠であるなら、受け入れる余地はあるだろう。

しかし、防衛省が求めるほどの性能は発揮できないことが少しずつわかってきた。日本に提供されるのは最新型ではなく、ひとつ古いブロック30というタイプ。防衛省は最新型の提供を期待したが、FMSのため米政府の判断に従うほかない。

そもそもグローバルホークは陸上偵察用に開発され、洋上偵察は不向きとされる。防衛省が予定している尖閣諸島を含む東シナ海の上空からの洋上偵察は、ミスマッチというほかない。

では北朝鮮対策に使ってはどうか。北朝鮮の偵察は海上自衛隊のP3C哨戒機を改造したOP3画像データ収集機がすでに行っている。撮った画像は鮮明とされる。OP3の飛行時間が10時間なのに対し、グローバルホークは36時間と滞空時間こそ優るが、精密な画像は上空から送れず、地上に戻って取り出す必要があるため、滞空型の利点は生かせないことになる。防衛省幹部は「高価格なのに性能はいまいち、といったところ」と不満を漏らす。