4. 〆切り前の80%は評価90点!

与えられた〆切りで仕事をしなければならない部下の立場についても、一言述べておこう。

〆切りまでに仕事が完成するか自信が無い、あるいは仕事の出来が十分であるか自信が無いという場合には、「〆切りの十分前に」できるところまでのアウトプットを提出するのだ。

組織の場合、仕事と〆切りを与えてそれが達成できなかった場合、その責任は上司が取るのが原則だ。仕事ができないとすると、部下に対する仕事の任せ方が不適切なのであり、それは上司が無能だということだ。

したがって、上司は難しい仕事を部下に与える場合、〆切りまでに十分なアウトプットが出来ない可能性を考えつつ、心の中に「真の〆切り」を隠してはらはらしているのが現実だ。こうした場合、〆切りに対して余裕を持って善後策の検討ができるとありがたい。

つまり、部下としては、出来具合に自信が持てない場合、〆切りよりも早く上司に提出・相談し、出来映えに十分な自信がある時は提出を〆切りまで引っぱっていい、という対応がセオリーとなる。

上司から見ると、100%の出来ではなく80%の完成度であっても、〆切りよりも前にアウトプットがあるという状態は、かなり満足の行く状態だ。

「〆切り前の80%は、評価として90点である」というくらいに考えていい。

なお、有能なのだが、時に締め切りを守れないタイプの部下には、ある種の完全主義であるために、アウトプットを確定・完成できずに、〆切りに遅れるといったタイプの者がいる。

こうした部下に仕事を任せる場合、上司は、〆切りよりもずっと早いタイミングで途中経過を提出させて、その後の完成を自分ないし別の者に回してしまうといい。

このタイプは、たいていの場合、持ち時間の2割くらいで80%レベルの完成を達成して、そこから先が進みにくい。

完全主義者は〆切りまで十分な時間を要求しがちで、〆切りの設定が長くなりすぎている可能性もあるのだが、上司としては、この程度の工夫は常に必要だ。もちろん、途中経過を受け取る場合に、達成された点に関して、適格に仕事を評価し褒められる部分は惜しみなく賞賛する「感想力」が、ここでも大切であることは言うまでもない。

今回は、「残業できない(時間が貴重な)時代」にちなんで、時間の使い方について考えてみた。自分の時間も、他人の時間も大切にして、気持ち良く働きたい。

なお、筆者は、この原稿を読んだ編集者が、原稿の締め切りを繰り上げてくるのではないかと、密かに心配している。