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最近の患者はわがまま過ぎる!? 薬に副作用があるのは当然ですが…

製薬会社MRの本音座談会

患者より医者が大事

Y川:(大手国内製薬会社の中堅MR) 4月にバイエル社の社員が、会社ぐるみで患者のカルテを無断閲覧していたことが問題になりましたね。

H田:(外資系製薬会社の若手MR) あれは業界でも大いに話題になりました。バイエルはドイツに本社がありますが、グループ全体で460億ユーロ(約5兆7000億円)以上の売り上げがある最大手の一つですからね。

しかも問題になったのが、目下売り出し中の抗血栓薬のイグザレルトだった。この薬はこれまで処方されていたワーファリンに取って代わると目されている「血液サラサラ」の薬で、'16年には国内でも前年比24%増の641億円を売り上げています。

N上:(元MRで現医療コンサルタント) 厚労省も個人情報保護法違反の疑いがあるとして、問題視していますね。なにより悪かったのは、カルテの閲覧をするように上司が現場のMRに指示していたこと。つまりカルテ閲覧は「組織的犯行」だった可能性が高い。

でも正直言って、私がMRの現場にいた30年ほど前は、医者に頼んでちょっとカルテを見せてもらうのは日常茶飯事でしたよ。医者と製薬会社の関係はもっと親密でしたからね。

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H田: 私たちの世代では考えられないような接待攻勢があったとよく聞きます。地方で行われる講演会の打ち上げ後に女性の手配までしたというんですから。

Y川: そんなあからさまな買収はもうできません。

そういう意味では、今回のカルテ閲覧事件は、可愛いもんです。もちろん個人情報保護の観点からは大問題ですが、患者のデータを医学論文に転用し、研究に使っていたわけですから、ある意味、いい薬を作ろうという熱意の現れじゃないか。

H田: そんなことを言っても世間には通用しませんよ。「無断閲覧」とマスコミに報道されてしまえば、イグザレルト自体が怪しい薬だというイメージをもたれかねません。

実際、報道を見て「イグザレルトを飲んでも大丈夫なのか」という問い合わせが、患者からあるらしいですよ。この薬は脳梗塞や血栓症の予防のために飲む薬ですから、勝手に服用をやめてしまうと、下手をしたら死亡事故が起きるかもしれません。

Y川: 雑誌やインターネットで医療情報を仕入れて、医者に「この薬は大丈夫なのか」と詰め寄る患者が増えているみたいですね。それに逆ギレして、患者に雑誌を投げつけるお医者さんもいると聞きました。

H田: 週刊現代の影響もあるんじゃないですか。いい迷惑ですね。

Y川: とくに降圧剤や糖尿病薬など、長く飲み続けている薬の副作用が週刊誌に書かれていると、不安になる患者が多いらしいです。

最近では、私たちMRに「お宅の薬を患者が飲みたがらないんだけれど、どうすればいいのか」と泣きついてくる医者までいます。

そういう場合には、同じ薬でも成分を少なめに処方してもらうようにアドバイスしています。