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医療・健康・食 ライフ 週刊現代

血圧をめぐる大誤解〜「数値が下がればそれでいい」わけがない

あなたは薬を「誤解」している(1)

力ずくで下げているだけ

予防医学の専門家である新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が言う。

「血圧が少しでも高いと死亡率が高い、低ければ低いほど長生きできる、だから高血圧の人は、薬で下げましょう。――ほとんどの日本人がそう誤解していると思います。医師もそうです。本当は薬に頼らずに血圧が低い人が長生きしているというのが正しいんですよ」

高血圧は、脳卒中や心筋梗塞につながることが知られている。だが、降圧剤を服用して数値を下げれば、もう安心というものではない。

 

健康増進クリニック院長の水上治氏が語る。

「日本では年齢+90以下の高血圧を薬で下げて延命したというデータがないのです。海外にもほとんどありません。

降圧剤は対症療法で血圧の数値を下げているだけ。にもかかわらず、多くの日本人が薬で高血圧が治っているように誤解しているんです。

血圧はいろいろな理由で高くなっているのに、むしろ力ずくで下げることによって、問題が生じる可能性があります。

脳の血流を悪くするかもしれない、内臓や手足の血流も悪くなるかもしれません。実際に降圧剤を飲んでいる高齢者が自立した生活を送りにくくなるというデータもあります」

『日刊薬業』が発表した'15年度の医療用医薬品製品別国内売上高15位以内に、降圧剤はいくつも入っている。具体的にはオルメテック(739億円)、ミカルディス(611億円)、アジルバ(590億円)、ブロプレス(585億円)の4つ。

まず、売上高の大きさに驚かされる。製薬会社にとっていかにドル箱かがわかるだろう。それはみなARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤)と呼ばれる比較的新しいタイプの降圧剤で、従来品と比べると価格も高いのだという。

「ARBが発売される以前に売れていたコバシルアデカットなどのACE阻害薬というタイプの降圧剤は特許切れとなり、ジェネリック薬品(後発薬)が続々と発売されています。

すると競合が激しくなり、大手製薬会社にとって旨味のある製品ではなくなった。そこで各社が新しく開発したのが、ARBなのです。

製薬会社は高価な最新のARBに切り替えてもらうために大々的なキャンペーンを行いました。忙しい現場の医師たちは、製薬会社の宣伝を鵜呑みにしてしまいがちです」(大学病院内科医)