裏社会 アメリカ

ラスベガスの地下住民は、やっぱり実在していた…!

丸山ゴンザレスのクレイジージャーニー裏日記⑨

世界の危険地帯を巡る丸山ゴンザレスが、アメリカの「地下住民」の実態を探る、クレイジージャーニー裏日記をお届けする。

意外なところに地下道が…

アメリカとホームレス。社会問題としてニュースで報じられることもあるのでご存じの人も多いだろう。私がアメリカのホームレス問題に興味を持つきっかけは、10年ほど前のことだった。偶然目にした「ラスベガスの地下に人が住んでいる」、そんな国際ニュースがきっかけだった。

気になったのでネットで検索してみると、「LAS VEGAS: Living in underground tunnels」と題された動画がヒットした。「まだこんな世界が存在しているのか」、これが正直な印象だった。その後、ハワイでホームレスの取材をする機会があった。

そこでアメリカが現在でもホームレス問題が大きなもので、ハワイのみならず本土では、かなり大変な状態が現在でも続いていることを知った。こうなると一気に掻き立てられる好奇心。取材の準備をするのは、自然な流れだった。

ラスベガスを取材で訪問したのは、2016年4月のこと。砂漠の中にある都市を取材するうえで比較的過ごしやすい季節ではあった。だが、それは日中だけのこと。いくぶん皮下脂肪が多めと自負している私でも、朝と夜は辛かった。

一気に冷え込むと、Tシャツで過ごすには少々厳しい感じがした。これはさすがに路上で暮らすのは厳しいのかもしれない。言うまでもないことなのだが、ホームレスの暮らしの厳しさの一端をいきなり知ることとなった。

「地下に暮らしている人を知りませんか?」

 

道行く人に聞いてみる。そもそも「ラスベガス=ギャンブルで成り立っている観光客一極集中型の都市」である。外国人が集まるホテル街を離れれば、都市を構成する人々が暮らす住宅地と砂漠しかない。「地下街」があるとすれば、ホテル街の外れと住宅地の入り口ぐらいだろうと予想し、そのあたりで聞き込みを進めた。

その予想は的中して、あっさりと「聞いたことある」とか「この先で見たことある」と教えてくれる。特別に接触はしないものの、目にしたことはある存在だということなのだ。私が取材している対象は、現地の住人にとっても「特殊な存在」であることは間違いない。UMA(未確認生物)などとは違い、実在していることが確かなのだから、探索するにあたってこれほど心強いことはない。

妻子と別れ、地下で暮らす男

「WELCOME TO Fabulous LAS VEGAS NEVADA」

彼の地でこの看板を目にした人も多いだろう。ギャンブルに興じる人も、エンターテイメントで楽しむ人も、どんな人も受け入れるかのようなこの象徴的な看板は、車で中心部から15分のところに立っている。徒歩で来るにはやや不便な場所だ。そもそもアメリカで徒歩移動を考えるほうが無理な話だ。ましてやここは砂漠の中にある街。体力も気力もあっというまに限界である。

地下住人が暮らす地下道は、この看板のすぐ近くにあった。道沿いから地下への入り口は、ゆったりとしたスロープ状の道を抜けて広くなったスペースにあり、確認すると穴は2つあった。まず、向かって右の穴の入り口に近づき、中を覗き込む。そこに人が暮らしているであろうことはすぐにわかった。

クーラーボックスが置いてあり、その周囲には多くのゴミが散乱していたからだ。まるで酒盛りでもしたかのように、酒瓶やビール缶がクーラーボックスを中心に配置されていたのは、誰かの意図的によるもので間違いないだろう。

ここに誰かが住んでいるのだ。