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フジテレビ「73歳新社長」人事の全内幕〜想像以上に複雑な事情が…

会長を退いた日枝氏はいま何を思う

現社長が60歳だから、新社長はそれより13歳も年上……。しかも、一度本体から外に出ていた「出戻り社長」。異例づくしのド級サプライズ人事の裏では、「フジ」ならではの複雑な事情が絡み合っている。

 

布石は2年前にあった

社長交代の情報が駆け巡った5月9日。この日の午後2時頃から、フジ・メディア・ホールディングス(フジMHD)とフジテレビで代表取締役会長を務める日枝久氏の部屋には、「役員人事の対象となる幹部たちが呼ばれていました」と同社幹部が明かす。

「今回、社長人事と同時に役員人事も大きく変えるのですが、関係する役員などが次々に呼ばれた形です。日枝会長が一人ずつ部屋に入れて、人事を言い渡したんです。午後2時から午後6時過ぎまで、個人個人への通告が行われました。

日枝会長が亀山千広社長の更迭を含めて大きく役員を変えると決めたのは、テレビ東京に利益で負けたことが我慢ならなくなってきたからです。最近もテレビ東京は視聴率好調な一方、うちは変わらず絶不調。

そんな体たらくに甘んじている経営陣を見かねた日枝会長は今年に入って、『全部を変える、人材も全部刷新する』ということを役員の前で公言。人事刷新をぶち上げたんです」

かねてより社長交代が噂されていたフジテレビで、新たなトップが決まった。

低視聴率から脱しきれなかった亀山社長が事実上の引責辞任に追い込まれ、新社長には宮内正喜・BSフジ社長が就く。宮内氏は下馬評には挙がってなかったダークホースなうえ、なにより73歳と高齢。

さらに、別会社に出てからの出戻り社長という異例ずくめの人事なため、さっそくサプライズと騒がれている。

「ただ、日枝会長に近い幹部たちの間では2年前くらいから、宮内氏が『復活する』という話は聞こえていました」

と、あるグループ幹部は指摘する。

「宮内氏はもともとフジテレビで専務まで務めたエースですが、'07年に豊田皓氏が社長就任した際、役員若返りの一環で関連会社の岡山放送に出されたんです。

当時は日枝会長が『邪魔だ』と飛ばしたとも言われ、出世の道は途絶えたはずでした。それが突如、'15年になるとその宮内氏をBSフジ社長としてお台場に引き戻した。

さらに昨年にはフジMHDの取締役にまで抜擢したので、一部幹部の間では、『宮内氏の次期トップ就任もあるぞ』と言われていたのです。

宮内氏に限らず、日枝会長は幹部級人材でも邪魔だと感じると外部に飛ばしてきたが、そうするうちに、気付けばフジテレビを任せられる人材がいなくなってきた。その現実に気が付いて、飛ばした人材を再び本体に戻すことをここへきてやり始めていたんです。

実際、昨年にはBSフジに出していた岸本一朗氏を本体の常務に戻し、今回の人事でも報道担当の専務に昇任。同じくBSに出されていた松村一敏氏も、今回の人事で営業担当の常務として戻ってくる」

実際、ここ数年のフジテレビの「人材不足」は業界では常に指摘されていた。テレビ業界を長く取材するジャーナリストも言う。

「岡山放送で宮内氏の後継社長に就いたのが、産経新聞の元政治部部長というのが象徴的です。フジサンケイグループの格付けでは、フジテレビよりも産経新聞は格下で、フジの関連企業の社長に就くことはこれまであり得ない人事だった。

ましてや番組作りをまったく知らない人がそのポストに就く。それほどフジテレビには人材がいないということなんです」