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文在寅の正体〜「親北・反日」とレッテルを貼って片付けるな!

その人間性と世界観を知る
ロー・ダニエル プロフィール

実利より大義名分と理屈を優先

高校の時、友たちと一緒に酒を飲んで摘発された際、自分が主導したといい、停学処分を受けたこと、慶熙大学に入学してみると、その大学で反政府デモが起こらないので自分が率先したこと、それが問題となりのちに「集会及び示威に関する法律」違反で有罪判決を受けたこと、そのため、夢にみた判事になれなくて人権弁護士になったこと、などが総体的に語るものは何か。

私はそこに倫理的優越感の存在を感じ取る。それが文氏を青年時代から数十年を引っ張ってきた精神的動力だろう。

司法研修院を優秀な成績で終えた文在寅が、無名の人権弁護士、盧武鉉と組んで数多くの「時局事件」を担当したこと、盧が大統領になった後にも人権弁護士の仕事を続け、悔しい思いをした人々のためにわずかな費用で弁護を続けたことは、倫理的優越感の表出だろう。

 

自らを他人より倫理的に優れていると信じる文は、人間関係において信義を重視し、約束を守る。仁義を尊重し、それをもって仲間から倫理的尊敬を求める人なら、他人と約束したこと、仲間たちの決めたことを変えないし曲げないので「原則主義者」の道を歩むこととなる。

国内政治のみならず外交においても、このような姿勢は大きな影響を及ぼすことになる。先に述べた超越主義と倫理的優越感が結合した結果、文の政策や行動は、実利より大義名分と理屈を重んじる可能性が高い。

「親北」「赤」のレッテル貼りは見損じを起こす

この性情と関連して誤解を払拭する必要がある。目下、韓国では以前、文が「共産主義者」呼ばわりされたことで裁判が行われている。今回の大統領選挙でも保守系の候補者たちは、リードしていた文を「赤」と色づけて得点を稼ごうとした。

しかし、文在寅を「赤い」共産主義者とか社会主義者と片付けることには無理がある。

まず、本人が否定している。文が代表する無数の利益集団の価値志向が、おおむねリベラルないし社会主義であることは間違いない。だが、文本人は、「選良のリベラルと既得権を守る腐った左派」を区別しようとする。

「運動圏のエリート主義と既得権カルテル」を非難する文の価値観は、大統領としての人事に現れている。国務総理に指名した李洛淵 (イ・ナグヨン)は、リベラル系の政治家になる前に21年間保守系の大手日刊紙『東亜日報』に勤めていた。

むしろ、文の批判を受ける左派の人々は、彼の融通がきかない姿勢や態度を嫌っている。文を「反米、反日、親中、親北」と性格づけることは軽率な態度である。政治家文在寅を嫌う人々にとって、そうした片付け方は満足感を感じるかもしれないが、政策の読みと予測において誤算を犯すこととなろう。