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サッカー 週刊現代

宮澤ミシェル「もしも暴れん坊の僕が、この本に出会っていなければ」

アイデンティティーを探して

子供の頃は活発な少年で、暴れん坊な問題児でした(笑)。周囲との間に摩擦が生まれた原因は、やはり僕が外国人だったからでしょうね。

フランス人で有名な音楽家の父と、日本人の母との間に生まれました。千葉市で育ちましたが、国籍はフランス。当時、日本社会で外国人は今より余程珍しかったので、他の子からすればどうしても異分子だったんですね。外国人登録証を常に携帯する必要があるなど不便も多く、「俺そんなに皆と違うのかよ!?」とフラストレーションもたまっていました。

中学校に入り、本格的にサッカーにのめり込みますが、高校に入ると、サッカーでも国籍の問題に直面します。日本人ではないから、ユースチームには行けない。国体に出場できたのも高校3年になってから。外国籍の選手として史上初、特別に認められてのことでした。

大学に入るのも国籍絡みで一苦労。帰化の申請はしているけれど、一向に手続きは進まない。

「俺はいったい『何人』として生きたらいいんだ」と、アイデンティティーに悩みました。

いろんなことに悩むと人間って弱くなりますよね。その頃から読み始めたのが人生論や成功哲学の本。とにかく勇気づけられるものを適当に手に取っては読んでいました。

子供の時と比べると意外かもしれないですが、大学時代は練習が終わるとすぐ自分の部屋に帰ってカーテンを閉め、ひたすら読書で自分を見つめる毎日。躁うつかと思うぐらい、心の浮き沈みが激しく、なかなかキツい時期でした。

友達との間も上手くいかなくなった時、読んで救われたのがデール・カーネギーの本。人間関係においては自分が積極的に変わり、相手に近寄っていく必要があるのかもしれない、などたくさんの示唆をもらいました。カーネギーの本はいつも持ち歩いていましたね。

 

子供のために何度も読み返した

もうひとつ、この頃からの僕のバイブルが、中村天風の『運命を拓く』。何度読んだかわからないぐらいの本です。

中村天風は波乱万丈な人生を送った人です。症状の進行が速い急性の結核にかかるのですが、旅先で出会ったヒマラヤのヨガの聖者に導かれながら、悟りとともに自然の中で病を治します。

中村天風「運命を拓く」</span></div>

この本の中では病気に向き合うことと、弱い自分を克服することが同じ流れの中で関わり合っていて、ポジティブな言葉を自分に唱え続けていくことの大切さを知りました。「煥発」というキーワードが最初はよくわからなかったけれど、なんかときめいたんですね(笑)。