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ビールにガソリン…政府主導の「値上げ強制」にイオンが反旗!

官民「物価戦争」のゆくえ

コンビニやスーパーで値下げの動きが相次いでいる。

イオンの岡田元也社長は「脱デフレは大いなるイリュージョン」と政府の脱デフレ政策を痛烈に批判しているが、一方で政府の期待通り、値上がりする商品もある。ガソリン価格はここ1年上昇が続いているほか、ビールの店頭価格も軒並み上がっている。

消費者にとっては、物価がどのように動いているのか分からず混乱するばかりだが、注意深く観察すると、一連の価格変動にはひとつの図式が透けて見える。

それは国策による値上げと、それに対抗する民間の値下げである。

アベノミクスはスタートから5年目を迎えているが、脱デフレをめぐる官と民の争いは最終段階を迎えている。

 

コンビニが値下げしたワケ

イオンは、傘下のスーパー400店舗において、4月から最大で254品目の値下げに踏み切った。

値下げ幅は平均すると10%程度になる。特にPB(プライベート・ブランド)の値下げ幅は大きく、例えば「トップバリュ天然微炭酸の水(485ml)」は138円(税抜き)から98円に、「トップバリュベストプライスキャノーラ油(1kg)」は258円から198円になった。

NB(ナショナル・ブランド:メーカーのブランドのこと)の商品についてもPBほどではないが、思い切った価格が設定されている。

コンビニ最大手のセブン-イレブンもほぼ同じ時期に61品目の値下げを実施している。店舗運営にコストがかかるコンビニは、これまで商品の値下げに対しては消極的であった。だが今回のセブンの値下げは、PBだけにとどまらずNB商品も対象となっている。これまでにない思い切った決断に業界関係者は驚いている。

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スーパーやコンビニが相次いで商品の値下げに踏み切ったのは、消費者の節約志向が極めて強く、消費低迷が深刻になっているからだ。

総務省が発表した2月の家計調査によると、2人以上の世帯における実質消費支出は前年同月比3.8%減と大幅なマイナスとなった。続く3月も1.3%のマイナスとなっており、消費支出が前年を下回るのはこれで13ヵ月連続である。

家計の状況は店舗の売上げを直撃している。

イオングループの中核企業であるイオンリテールの通期(2017年2月期)既存店売上高は前年比2.3%のマイナスだった。全社的な決算はギリギリで横ばいを維持したが、薄氷の決算だったことは間違いない。

3月に入っても状況は変わっておらず、同社の既存店売上高は前年同月比で3.4%のマイナスとなっている。この傾向は当分続く可能性が高い。